読んだ本の感想や紹介したい部分を書いたものです。

過去ログ (その15) 194冊



平成25年1月5日~平成27年12月27日



No 読んだ日 書       名 著   者 おすすめ度
2038 2015-12-27 十字の記憶 堂場 瞬一 ★★★★★
2037 2015-12-23 キングダム 新野 剛志 ★★★★
2036 2015-12-19 犯人に告ぐ 2 雫井 侑介 ★★★★★
2035 2015-12-14 ハゲタカ外伝 スパイラル 真山 仁 ★★★★
2034 2015-12-11 空色の小鳥 大崎 梢 ★★★★★
2033 2015-12-05 冬の光 篠田 節子 ★★★★★
2032 2015-11-23 朝が来る 辻村 深月 ★★★★★
2031 2015-11-18 非素 帚木 蓬生 ★★★★★
2030 2015-11-10 富士山噴火 高嶋 哲夫 ★★★★
2029 2015-11-04 永い言い訳 西川 美和 ★★★★
2028 2015-10-31 豹変 今野 敏 ★★★
2027 2015-10-27 ちゃんぽん食べたかっ! さだ まさし ★★★★
2026 2015-10-22 潮流 東京湾臨海署 安積班 今野 敏 ★★★★
2025 2015-10-18 プロフェッション 今野 敏 ★★★★★
2024 2015-10-12 道徳の時間 呉 勝浩 ★★★★
2023 2015-10-09 インデックス 誉田 哲也 ★★★★
2022 2015-10-05 疾風ロンド 東野 圭吾 ★★★★★
2021 2015-10-01 ラプラスの魔女 東野 圭吾 ★★★★
2020 2015-09-28 銀色の絆 雫井 脩介 ★★★★
2019 2015-09-22 レオナルドの扉 真保 裕一 ★★★★
2018 2015-09-19 過ぎ去りし王国の城 宮部 みゆき ★★★★
2017 2015-09-15 アンタッチャブル 馳 星周 ★★★★
2016 2015-19-07 強襲 所轄魂 笹本 稜平 ★★★★
2015 2015-09-02 炎の塔 五十嵐 貴久 ★★★★
2014 2015-08-31 断裂回廊 逢阪 剛 ★★★★
2013 2015-08-27 走れ、走って逃げろ ウーリー・オルレブ ★★★★
2012 2015-08-25 田園発港行き自転車 上・下 宮本 輝 ★★★★
2011 2015-08-20 オールド・テロリスト 村上 龍 ★★★★
2010 2015-08-13 スクラップ・アンド・ビルド 羽田 圭介 ★★★★
2009 2015-08-13 火花 又吉 直樹 ★★★★
2008 2015-08-11 極悪専用 大沢 在昌 ★★★
2007 2015-08-06 抱く女 桐野 夏生 ★★★
2006 2015-08-04 偽装 -越境捜査- 笹本 稜平 ★★★★
2005 2015-07-16 桜ほうさら 宮部 みゆき ★★★★
2004 2015-07-10 ミハスの落日 貫井 徳郎 ★★★
2003 2015-07-05 誓約 薬丸 岳 ★★★★★
2002 2015-07-02 韓国の「反日」メカニズムが米国で明らかに 古森 義久 ★★★★★
2001 2015-06-20 鬼忘島 金融捜査官 伊地知耕介 江上 剛 ★★★★★
2000 2015-06-14 自滅 柴田 よしき ★★★
1999 2015-06-11 奴隷小説 桐野 夏生 ★★★★
1998 2015-06-07 我が心の底の光 貫井 徳郎 ★★★★
1997 2015-06-01 べんけい飛脚 山本 一力 ★★★★
1996 2015-05-29 おやすみラクマニノフ 中山 七里 ★★★
1995 2015-05-27 検察側の罪人 雫井 侑介 ★★★★★
1994 2015-05-26 韓国人こそ歴史を学べ! ケント・ギルバート ★★★★★
1993 2015-05-25 ヒートアップ 中山 七里 ★★★★★
1992 2015-05-22 アポロンの嘲笑 中山 七里 ★★★★★
1991 2015-05-20 波止場浪漫 上・下 諸田 玲子 ★★★★
1990 2015-05-14 後妻業 黒川 博行 ★★★★★
1989 2015-05-09 自覚 隠蔽捜査5.5 今野 敏 ★★★★
1988 2015-05-05 明日の子供たち 有川 浩 ★★★★
1987 2015-05-01 ナナフシ 香田 真音 ★★★★
1986 2015-04-25 嗤う淑女 中山 七里 ★★★★★
1985 2015-04-21 流星ワゴン 重松 清 ★★★★★
1984 2015-04-18 妻恋坂情死行 鳥羽 亮 ★★★
1983 2015-04-12 悲嘆の門 上・下 宮部 みゆき ★★★★
1982 2015-04-03 Red 島本 理生 ★★★★
1981 2015-03-31 精鋭 今野 敏 ★★★★
1980 2015-03-29 笹の舟で海をわたる 角田 光代 ★★★★
1979 2015-03-26 月光のスティグマ 中山 七里 ★★★★
1978 2015-03-24 編集ガール! 五十嵐 貴久 ★★★
1977 2015-03-20 帝国の慰安婦 朴 裕河 ★★★★
1976 2015-03-16 瞳の犬 新堂 冬樹 ★★★★
1975 2015-03-11 警察回りの夏 堂場 瞬一 ★★★★★
1974 2015-03-05 七色の毒 中山 七里 ★★★★
1973 2015-03-02 雨に泣いている 真山 仁 ★★★★
1972 2015-02-28 刑事群像 香納 諒一 ★★★★
1971 2015-02-19 物語のおわり 湊 かなえ ★★★★★
1970 2015-02-15 狂信者 江上 剛 ★★★★★
1969 2015-02-09 テミスの剣 中山 七里 ★★★★★
1968 2015-02-03 誤断 堂場 瞬一 ★★★★
1967 2015-01-27 ギフテッド 山田 宗樹 ★★★
1966 2015-01-24 女のいない男たち 村上 春樹 ★★★
1965 2015-01-22 マル暴甘糟 今野 敏 ★★★★
1964 2015-01-06 売国奴 真山 仁 ★★★★★
1963 2015-01-05 破門 黒川 博行 ★★★★
1962 2014-12-24 怒り 上・下 吉田 修一 ★★★★
1961 2014-12-18 ありふれた愛じゃない 村上 由佳 ★★★★★
1960 2014-12-15 夜また夜の深い夜 桐野 夏生 ★★★★★
1959 2014-12-10 ケモノの城 誉田 哲也 ★★★★
1958 2014-11-30 遺譜 浅見光彦最後の事件 上・下 内田 康夫 ★★★★
1957 2014-11-25 山女日記 湊 かなえ ★★★★
1956 2014-11-22 ダブル・フォールト 真保 裕一 ★★★★
1955 2014-10-18 12月の向日葵 永瀬 隼介 ★★★★★
1954 2014-10-16 逆流 -越境捜査- 笹本 稜平 ★★★★★
1953 2014-10-10 つばき 山本 一力 ★★★★
1952 2014-09-28 許されざるもの 樋口 明雄 ★★★★★
1951 2014-09-25 アクアマリンの神殿 海堂 尊 ★★★★
1950 2014-09-19 ペテロの葬列 宮部 みゆき ★★★★★
1949 2014-09-17 失踪都市 所轄魂 笹本 稜平 ★★★★★
1948 2014-09-14 貘の檻 道尾 秀介 ★★★★
1947 2014-09-10 豆の上で眠る 湊 かなえ ★★★★★
1946 2014-09-07 銀翼のイカロス 池井戸 潤 ★★★★★
1945 2014-09-05 成亥の追風 山本 一力 ★★★★
1944 2014-09-03 女系の総督 藤田 宜永 ★★★
1943 2014-08-29 金魚鉢の夏 樋口 有介 ★★★★
1942 2014-08-25 憂いなき街 佐々木 譲 ★★★★
1941 2014-08-20 アンダーカバー 秘密調査 真保 裕一 ★★★★
1940 2014-07-17 やがて、警官は微睡る 日明 恩 ★★★★
1939 2014-07-12 ライアー 大沢 在昌 ★★★★
1938 2014-07-05 私に似た人 貫井 徳郎 ★★★★
1937 2014-06-27 連写 TOKAGE3 特殊遊撃捜査隊 今野 敏 ★★★★
1936 2014-06-25 決断 小杉 健治 ★★★★★
1935 2014-06-19 長女たち 篠田 節子 ★★★★
1934 2014-06-12 札幌アンダーリング 小路 幸也 ★★★
1933 2014-06-07 人生相談 真梨 幸子 ★★★★
1932 2014-05-27 遺産 THE LEGACY 笹本 稜平 ★★★★
1931 2014-05-26 祈りの証明 森村 誠一 ★★★★
1930 2014-05-24 刑事の約束 薬丸 岳 ★★★★
1929 2014-05-20 イン・ザ・レイン 山下 貴光 ★★★★
1928 2014-05-16 大統領を殺す国 韓国 辺 真一 ★★★
1927 2014-05-11 尾根を渡る風 笹本 稜平 ★★★★
1926 2014-05-07 まいない節 献残屋佐吉御用帖 山本 一力 ★★★★
1925 2014-05-02 Sの継承 堂場 瞬一 ★★★★
1924 2014-04-30 上流階級 高殿 円 ★★★★
1923 2014-04-17 内通者 堂場 瞬一 ★★★★
1922 2014-04-14 渋谷署強行犯係 虎の尾 今野 敏 ★★★★
1921 2014-04-10 新版 時の止まった赤ん坊 曽野 綾子 ★★★★
1920 2014-04-03 中国・韓国が死んでも隠したい本当は正しかった日本の戦争 黄 文雄 ★★★★
1919 2014-03-16 ラフ・アンド・タフ 馳 周星 ★★★★
1918 2014-03-05 海と月の迷路 大沢 在昌 ★★★★★
1917 2014-02-17 マクティブメジャーズ 今野 敏 ★★★★
1916 2014-02-09 グリード 上・下 真山 仁 ★★★★
1915 2014-01-11 北天の馬たち 貫井 徳郎 ★★★★
1914 2014-01-08 だから荒野 桐野 夏生 ★★★★★
1913 2014-01-06 北の街物語 内田 康夫 ★★★
1912 2013-12-24 嘘だらけの日韓近現代史 倉山 満 ★★★
1911 2013-12-22 日韓がタブーにする半島の歴史 室谷 克実 ★★★★
1910 2013-12-20 韓流時代劇と朝鮮史の真実 宮脇 淳子 ★★★★
1909 2013-12-18 日本人の恩を忘れた中国人・韓国人の「心の闇」 黄 文雄
呉 善花
石 平
★★★
1908 2013-11-25 こちら警察庁美術犯罪捜査班 門井 慶喜 ★★★
1907 2013-11-25 星籠の海 上・下 島田 荘司 ★★★★
1906 2013-11-15 怪物商人大倉善八郎伝 江上 剛 ★★★★
1905 2013-11-12 堂場 瞬一 ★★★★
1904 2013-11-08 正義をふりかざす君へ 真保 裕一 ★★★★★
1903 2013-10-16 そして、父になる 是枝 裕和
佐野 晶
★★★★★
1902 2013-10-11 ドミノ倒し 貫井 徳郎 ★★★
1901 2013-09-30 冷血 上・下 高村 薫 ★★★★
1900 2013-09-14 ようこそ、わが家へ 池井戸 潤 ★★★★★
1899 2013-09-10 笑うハーレキン 道尾 秀介 ★★★
1898 2013-09-10 晩夏 東京湾臨海署 安積班 今野 敏 ★★★★★
1897 2013-09-09 いつも彼らはどこかに 小川 洋子 ★★★
1896 2013-08-28 欠落 今野 敏 ★★★★
1895 2013-08-27 人質 佐々木 譲 ★★★★
1894 2013-08-26 ロスジェネの逆襲 池井戸 潤 ★★★★★
1893 2013-08-03 偽りのシスター 横関 大 ★★★★
1892 2013-07-31 激流 上・下 柴田 よしき ★★★★★
1891 2013-07-28 ランドマーク 吉田 修一 ★★★
1890 2013-07-17 天佑なり 上 高橋是清・百年前の日本国債 幸田 真音 ★★★★
1889 2013-07-12 孤独な放火魔 夏樹 静子 ★★★★
1888 2013-07-10 ボクの妻と結婚してください 樋口 卓治 ★★★★
1887 2013-07-07 天佑なり 下 高橋是清・百年前の日本国債 幸田 真音 ★★★★
1886 2013-06-30 第四権力 スキャンダラス・テレビジョン 高杉 良 ★★★
1885 2013-06-14 銀行支店長走る 江上 剛 ★★★★★
1884 2013-06-09 執着 捜査一課・沢村慶司 堂場 瞬一 ★★★★
1883 2013-06-05 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上 春樹 ★★★★
1882 2013-05-29 夢幻花 東野 圭吾 ★★★★
1881 2013-05-20 望郷 湊 かなえ ★★★★
1880 2013-05-15 「南京大虐殺」のまぼろし 鈴木 明 ★★★
1879 2013-05-03 間違いだらけの新聞報道 片岡 正巳
板倉 由明
田辺 敏雄新
★★★
1878 2013-04-28 「南京大虐殺」という陰謀 中国プロパガンダの正体 小林 大作 ★★★
1877 2013-04-20 え、なんでまた? 宮藤 官九郎 ★★★
1876 2013-04-12 ハピネス 桐野 夏生 ★★★★
1875 2013-04-10 「南京事件証拠写真」を検証する 東中野 修道
小林 進
福本 慎次郎
★★★★★
1874 2013-04-05 確証  今野 敏 ★★★★
1873 2013-04-02 図説 朝鮮戦争 田中 恒夫 ★★★
1872 2013-03-30 検証 靖国問題とは何か PHP研究所 ★★★★
1871 2013-03-29 汚れちまった道 内田 康夫 ★★★★
1870 2013-03-28 狭小邸宅 新庄 耕 ★★★★
1869 2013-03-27 黄文雄の近現代史集中講座 台湾・朝鮮・満州 黄 文雄 ★★★★
1868 2013-03-25 黄文雄の近現代史集中講座 日清・日露・大東亜戦争編 黄 文雄 ★★★★
1867 2013-03-23 慟哭の家 江上 剛 ★★★★
1866 2013-03-21 ことり 小川 洋子 ★★★★★
1865 2013-03-17 橋下劇場 読売新聞大阪本社社会部 ★★★★
1864 2013-03-15 黄文雄の完全予測 これからの中国はこうなる! 黄 文雄 ★★★★
1863 2013-03-14 「従軍慰安婦」問題 黄 文雄 ★★★★
1862 2013-03-12 絶望は私を鍛え、希望は私を動かす 朴槿恵自叙伝 朴槿恵 ★★★★
1861 2013-03-10 中国の終わりのはじまり 黄 文雄 ★★★★
1860 2013-03-05 冤罪死刑 緒川 怜 ★★★★★
1859 2013-02-18 とんび 重松 清 ★★★★★
1858 2013-02-11 我が家の問題 奥田 英朗 ★★★★
1857 2013-02-07 白ゆき姫殺人事件 湊 かなえ ★★★★
1856 2013-02-02 中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか? 段 躍中 ★★★
1855 2013-01-30 回廊封鎖 佐々木 譲 ★★★★
1854 2013-01-27 新島八重 その生涯 不破 俊輔 ★★★★
1853 2013-01-25 over the edge 堂場 瞬一 ★★★★
1852 2013-01-23 八重の桜 一 山本 むつみ ★★★
1851 2013-01-21 潜入者 折原 一 ★★★★★
1850 2013-01-09 繚乱 黒川 博行 ★★★
1849 2013-01-07 サファイア 湊 かなえ ★★★★
1848 2013-01-05 仮面の家 先生夫婦はなぜ息子を殺したのか 横川 和夫 ★★★★
1858 我が家の問題
Date: 2013-2-11

おすすめ度 ★★★★

奥田 英朗 著  集英社  発行:2011年7月

 田中淳一32歳は新婚なのに家に帰りたくない。18歳で広島から上京し一人暮らしをしてきた。オナラもゲップもトイレも開けっ放しでやった。それが2ヶ月前に2つ年下の妻と結婚した。黙っていても食事が出る。風呂に入れば着替えが用意されていた。ハネムーン気分を過ぎると息苦しさを感じるようになった。自分は何か大切なものを失ったのではないかと思うようになった。やがて麻雀をしたり、喫茶店によって帰るようになった。不思議と息苦しさは和らいだ。
 ある日、妻から何か不満があるのかと聞かれる。遠慮しているようだと思われていた。淳一が会社で家庭のことを話すと自分の時間を作れといわれる。また、早く子供を作れとも。遠慮している場合ではない。
 その日、初めて妻と喧嘩した。
ほか5編。
1857 白ゆき姫殺人事件
Date: 2013-2-07

おすすめ度 ★★★★

湊 かなえ 著  集英社  発行:2012年7月

 T県T市の日の出化粧品に勤める三木典子25歳が市内のしぐれ谷の雑木林で遺体で発見された。十数か所の刺し傷と灯油で火をつけられて殺された。
 後輩の狩野里沙子は友達にそのことを電話で話した。
城野美姫は三木典子と同輩で、この事件のあと長期休暇をとっていた。城野美姫が、あの日、駅に向かって猛ダッシュで走っていくのを見たものがいた。
いつの間にか、この事件の犯人のように扱われるようになった城野美姫。
美姫はバイオリニストの兄弟の芹沢ブラザーズのコンサートのチケットを三木からもらうことになっていた。会社には母の病気を理由に休暇をもらった。車の中で寝始めた三木を残して美姫は猛ダッシュで東京の会場に向かった。なのに、なぜ殺されてしまったのだ。
ビジネスホテルに泊まっている間に、美姫はいつの間にか週刊誌に犯人の扱いをされていた。「白ゆきの石鹸のOLであることから白ゆき姫殺人事件と呼ばれるようになり、犯人は同僚の白雪姫を連想させる名だと書かれた。
日の出化粧品は白ゆき石鹸が爆発的に売れ、なかなか手に入らない状態だった。社内ではボールペンがなくなったり、菓子やかわいい付箋などがなくなったりするようになっていた。
週刊誌は美姫の小さいころの火遊びのことまで書かれた。コンサート会場では芹沢雅也が美姫の前で倒れる。三木典子が雅也の恋人と騒がれていたが、典子はカムフラージュにされたことが後でわかる。
週刊誌、ブログ、ツイッターなどがこの事件を騒がしていた。
1856 中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?
Date: 2013-2-02

おすすめ度 ★★★

段 躍中 著  日本僑報社  発行:2013年1月

 中国人がいつも大声で喋るのはなんでなのか?というテーマの日本語作文コンクール受賞作が17編余、そのほか日中の交流に関する作文など全部で60編。
 大声で話すのは中国民の民族風土の習慣だ。中国語の発音の難しさからくる大声。声で自信と勇気を伝えている。遠くにいる人には大声で。大声はいいことだと育った。アクセントで文の意味が違ってくるので大声の印象が残る。中国人は感情的な傾向にあるから声が大きい。声の大きさは待遇表現。口を大きく開けなければ正しく発音できない中国語。大声でしゃべる環境に慣れてしまっている。公共の場では大声は見直すべきだ。駄目なことを国の習慣にするのはなんと図々しいことでしょう。大声の教育は時代に合わなくなってくるだろう。大声のよさも大切にしつつ、周りの人への心遣いも大切にしたい。大声で話すのは中国の習慣ではなく、中国の独特な文化の一つの表現だ。中国も話し方を調整すればよい。中国人が大声でしゃべっても別の国家を邪魔をしたことはない。大声は生活習慣と環境の差だ。
 作文に応募したのは中国の大学生たち。毎年作文コンクールが行われている。今回で8回目だ。
1855 回廊封鎖
Date: 2013-1-30

おすすめ度 ★★★★

佐々木 譲 著  集英社  発行:2012年8月

 警視庁捜査一課の警部補久保田は、列車に飛び込んだという事件を調べていた。橋の上から鉄路へ飛び込んだというが、手を縛られシートにくるまれていた。投げ込まれた他殺だった。殺された男は丸橋政男55歳。丸橋は6年前に紅鶴という消費者金融に勤めていた。
 紅鶴は6年前、大量の過払い返還訴訟を受け、経営が破綻した。
 香港の人気女優ミニー・ウォン主演の新作「誓約的払暁」の完成で、今秋東京アジア映画ウィークに招待作として本人が来日予定であった。
 清掃員の重原辰巳は、かつては紅鶴から融資を受け過酷な取立てにあっていた。今では元請け会社からすすめられて興した株式会社重原サポートの社長であった。社員は5人、皆、紅鶴の多重債務者であった。
 ビルの屋上から人がぶら下がっているという通報で駆けつけると、屋上から5メートルほど下がったところでみつかった。栗沢伸司で6年前に紅鶴船橋支店長をしていた。防犯ビデオから直前に作業員2人が写っていた。
 紅鶴の社長一族は、長男紅林伸夫は香港のグローバルテンという会社を興していた。父親の謙吾から送金された莫大な金を有していた。謙吾の娘はハワイに暮らしており、謙吾の最期は娘が看取った。経営が破綻した年の暮れだった。海外の子供たちに贈与した上で会社を解散させ法的追及から逃れた。
 重原たちはこの紅鶴の社員に復習することで生きる糧を得ていた。香港の女優ミニー・ウォンが紅林伸夫の愛人だと知り、めったに帰国しない紅林を襲うチャンスと計画を立てる。
 紅林が六本木ステイツで開催される映画ウィークに清掃員で入り込む重原。
刑事の久保田も立て続けに狙われる紅鶴の元社員に紅林の周辺を警戒させる。
ホテルから出ない紅林の行動の監視、映画ウィークの進行表を手に入れホテルに忍び込む重原サポートの仲間5人。花を部屋まで届ける役、カメラマンに扮して紅林に近づく者など。
 紅林の部屋を襲うが、警備員から反撃を食らう。紅林は風呂に逃げ込んだ。
ホテルでの銃撃のあった16階は封鎖されるが、紅林を追い詰める。最後に紅林から「資金を全部出す」と言わせるが、死ぬ気でいる者にはいまさら金など要らぬ。
紅林は消失した。
1854 新島八重 その生涯
Date: 2013-1-27

おすすめ度 ★★★★

不破 俊輔 著  明日香出版  発行:2012年9月

 八重は元治2年、兄の覚馬のすすめで兄の下へ師範希望で来ていた川崎尚之助と結婚する。八重19歳、尚之助28歳だった。
 郭内に進攻してきた新政府軍。西郷頼母の家では、女は足手まといになるより自害したほうがよいと頼母の母、妻、妹、子供5人と親類縁者をふくめて21人が集団自決した。
 八重は一人で大手門でスペンサー銃で応戦していた。そこへ尚之助が大砲を持って加勢する。夕方には味方と合流するが、会津藩は7千人、新政府軍は数万人であった。会津藩は討死を覚悟して戦った。1日2700発余の砲弾が城に炸裂した。1ヵ月後、藩主容保が降伏を決断し、城下の戦いは終わった。城内では4956人の生存者のうち女性は70人だった。
 豪や街角に腐乱した死体は賊軍という名目で埋葬を許されなく放置された。白虎隊も政府軍より埋葬を禁じられ野ざらしにされた。再三の嘆願でようやく埋葬が許可された。
 八重は覚馬が京都で生きていることを知った。佐久と八重と覚馬の娘うらの女3人で1ヶ月掛けて京都へ行く。妻は覚馬に女がいると思い行くことを拒んだ。
 覚馬は目が見えなくなって女性の世話になっていた。女性との間に娘ができていた。
 17歳年上の覚馬が京都で産業や教育の改革を行う仕事をしていた。八重は覚馬の仕事を手伝う。「これからの日本女性は家のことだけでなく外に目を向け、教育も必要である」という兄の論文に感銘する。八重は英語を習い始める。
その後、公立女学校である和洋女紅で舎監と補助教師として勤める。
 八重と覚馬は6年ぶりに尚之助と東京で会う。尚之助はやせ細って長屋暮らしをしていた。京に行こうという誘いを断り39歳で肺炎のために死ぬ。
 そのころ、新島譲はボストンのフィリップ・アカデミーに入学し、さらにアマースト大学を卒業して理学士の学位をとり、日本人で初めての学士が誕生した。
その後、アメリカ、ヨーロッパ、フランス、スイス、ドイツ、ロシアを訪ね、日本にもキリスト教の学校をつくろうとアンドーヴァー神学校を卒業して明治7年11月、10年ぶりに帰国した。
 八重がアメリカの伝道教会宣教医ゴートンに英語を習っていたが、譲とゴートンはアメリカで同級生だった。
 1年後、譲は同志社英学校を発足させた。
 八重が30歳のとき、譲32歳で二人は結婚する。 明治23年心臓病で譲は死去するが、八重は昭和7年6月、88歳で胆のう炎で死去する。
1853 over the edge 
Date: 2013-1-25

おすすめ度 ★★★★

堂場 瞬一 著  早川書房  発行:2012年11月

 モーリス・ブラウンはニューヨーク市警察緊急出動部隊の分隊長である。大手のIT企業ラーガのCEOラオ氏から、日本に派遣した上級副社長ドナルド・ホワイトから1ヶ月以上連絡が取れないという依頼を受け来日した。名目は日本での視察ということであった。
11月30日、警視庁捜査共助課の塩田がブラウンに付き合い、歌舞伎町を案内する。ブラウンは赤坂見附のホテルに宿を取った。
 大柄な外人が外人2人に襲われているところに遭遇した元刑事の濱崎は笛を吹いて外人2人を追い払う。大柄な外人はブラウンであった。濱崎は今はなんでも屋のような仕事をしている。ブラウンから自分と同じにおいを感じる。怪我をしているようなので、自分のマンションにブラウンを連れて行く。
 ブラウンに興味を持った濱崎は元の同僚から情報を得て、ブラウンがニューヨーク市警察であることを知る。襲われていたことを担当に知らせ、運よく彼の行動を見張るようになった。
 ホワイトは、10月に来日し、10月26日に日本人スタッフと食事をした後、一人で姿をくらました。ラーガの日本支社を立ち上げる途中のことだった。
 濱崎は自分が刑事を辞めるきっかけになったヤクザとの関係。ヤクザの石本が濱崎をはめたような形であった。濱崎はクビには成らなかったが依願退職になった。調べるうちにホワイトと石本が絡んでいた。ブラウンが暴力団に捕まり、そこにホワイトがいた。ホワイトは会社を裏切って会員名簿情報を流していた。濱崎がマンションの屋上から1階下の8階に急襲し、ブラウンを助ける。
 ブラウンを空港で見送る。いったんニューヨークに戻りまた来るという。ブラウンは濱崎に「感謝するよ。相棒」という。
1852 八重の桜 一
Date: 2013-1-23

おすすめ度 ★★★

山本 むつみ 著  NHK出版  発行:2012年11月

 1868年会津鶴ケ城に新政府軍の板垣退助を先頭に土佐藩兵が攻めてきた。鶴ヶ城主は松平容保だった。
 1851年、八重は6歳になっていた。兄のように自分も鉄砲を撃ってみたいと思うようになっていた。11歳で、八重は男たちに負けず米俵を軽々と持ち上げて大人たちをびっくりさせていた。その年、はじめて銃を手にした。
 兄と一緒に銃術を習うことが許された。
長崎でコレラが流行し島津斉彬もコレラで逝った。1858年のことだった。
 1860年には井伊直弼が襲撃され、1863年には家茂が没した。
会津の容保のもとに武家伝奏により勅令が届く。「一橋公を励まして攘夷をさせよ」 容保は孝明天皇から授かった衣で陣羽織を作り鉄砲隊を率いて天覧披露する。
 1859年(安政6年)10月、吉田松陰に裁きくだった。死罪だった。長州藩は外国船を砲撃する。
 八重は兄の友人の尚之助から求婚される。
1851 潜入者
Date: 2013-1-21

おすすめ度 ★★★★★

折原 一 著  文芸春秋  発行:2012年12月

 笹尾時彦は小説新人賞の応募作品268編のうち57編を読み進めるうちに、ちょっと変わった作品が気にとまった。「堀田守男氏の手②」であった。なぜ②なのだろうということと内容が8年前に起こった連続少女失踪事件だった。応募者は松谷未来だったが、男か女か分からない。ノンフィクション作家という。
 笹尾は松谷未来を訪ねたが、住所地にあるのは女性専用のアパートだった。しかし、笹尾の同業者の百合子から堀田守男はこの女性専用のアパートの104号室に住んでいたという。105号室は松谷未来だった。
 少女の一人は父親がパチンコをしている間にいなくなった相沢奈美ちゃんという小学校入学前の女の子。次に島村亜衣ちゃんがいなくなった。
 堀田守男は部屋から相沢奈美ちゃんのランドセルが見つかり収監された。32歳の堀田の部屋から十人ほどの少女の写真があった。失踪した二人の写真も見つかった。
 堀田守男は三人目の失踪者矢神沙織ちゃんも彼の犯行だと思われたが、堀田は無実を主張した。死体も見つかっていなかった。
 堀田守男は「堀田守男を救う会」の綿沼という女性と獄中結婚した。笹尾はその女性の心理が理解できなかった。取材を申し込むが電話は途中で切られてしまった。
 笹尾は松谷未来に会うことにした。30過ぎの女性だった。事件があった当時は23歳ぐらいだ。
 松田未来が書いた「堀田守男氏の手」第一巻が発売された。久喜市を舞台にした連続少女失踪事件が除き見たように書かれていた。
 未来の住むアパートは保育園のそばに建っていた。失踪した少女たちは今どこにいるのか。堀田の妻も守男に問いただすが・・・。
「堀田守男氏の手」第三巻には堀田守男が妻を殺して逃げているとなっていた。
1850 繚乱
Date: 2013-1-9

おすすめ度 ★★★

黒川 博行 著  毎日新聞社  発行:2012年11月

 堀内信也は元大阪府刑事課暴力団犯罪対策係の刑事だった。八尾の賭場摘発で学校法人理事を脅迫したことが発覚して依願退職した。堀内の退職から2ヵ月後、伊達誠も同じ刑事だったが、三角関係にあった愛人のヒモに刺され懲戒免職になった。38歳だ。
 退職後、堀内と伊達は東京にやってきた。練馬の石神井で競売屋の調査員という名目で競売になっている物件を調査していた。石神井ではその物件は更地で駐車場になっていたが、高級車が4台停まっていた。極道のにおいがプンプンする。持ち主といわれる人物から埼玉の蕨に行き、反共五租連合会という極道系右翼の事務所を聞き、再び大阪に戻る。
 パルテノンが競売に出されることをかぎつける。西中島のコウセイ会の縄張りだった。
二人は、パルテノンに群がるヤクザを壊滅させるために、元の同僚らの協力を得て解散に追い込む。
1849 サファイア
Date: 2013-1-7

おすすめ度 ★★★★

湊 かなえ 著  角川春樹事務所  発行:2012年4月

 短編7話 「真珠」「ルビー」「ダイヤモンド」「猫目石」「ムーンストン」「サファイア」「ガーネット」の題で書かれている。
「真珠」では林田万砂子53歳に呼び出されて、ムーンスターお客様相談室の平井厚33歳が面会に行く。林田万砂子は日本中に注目されている放火犯だ。その女の口から、ほんとうは自分は林田万砂子ではない。学生時代に寮が火災になり、とっさに友達の倫子と入れ替わった。当日、真珠のピアスをして倫子の服を着ていた万砂子は倫子として焼死したという。目の前にいる女は先月連続放火犯として逮捕された。一晩で5件の放火をした女だ。子供のころ、ムーンラビットのイチゴ味の歯磨き粉を使っていた万砂子。入れ替わってから今度は自分がムーンラビットのイチゴ味の歯磨き粉を使って30年。今は、もう製造されていない。それを作ってほしくて放火したと話す。
「ダイヤモンド」では、治は美和にダイヤモンドの指輪を贈った。結婚を約束した。美和は夜の栄養士専門学校へ通っていると話していた。駅で偶然雀を助けた治。雀は恩返しになにかしたいという。治は美和のほしいものが何か知りたいといった。雀はしばらくして「美和さんがほしいのは鈴木崇史さんです」という。聞けば、美和は別の男がいた。自分は騙されているようだ。栄養学校へも行っていない。治は雀に美和の行動を見張らせた。そして、偶然、美和と鈴木が乗った車が高速道路で横壁に激突し2人は死亡する。治は警察に重要参考人で連行されるが、雀の恩返しを信じてもらえるだろうか。
1848 仮面の家 先生夫婦はなぜ息子を殺したのか
Date: 2013-1-5

おすすめ度 ★★★

横川 和夫 著  駒草出版  発行:2012年10月

 1992年6月4日、高校の国語教師鈴木涼(仮名)54歳は、妻49歳と共謀して長男諒23歳を包丁で刺殺した。地裁では夫婦ともに懲役3年、執行猶予5年で実際には服役しないで残された弟2人と過ごす。
 1993年3月、検察側が上告し、高等裁判所で夫には懲役4年の実刑が言い渡された。妻には控訴が棄却された。その後、検察、被告とも上告せず確定した。
 事の起こりは、高校生になった長男が学校を休みがちになり、教師の父親が2年生の末に退学届けを出した。長男は大検を受け合格した。その後、私立大学に入るが、またしても中退する。家庭内で暴れ、いすを倒し台所に傷をつける、妻の作った食事を「まずい」と投げつける。妻に暴力を振るうなどの言動を繰り返した。妻は夫に相談、長男は夫の意見も罵倒するなど返って関係を悪化させた。思い余った夫は長男を包丁で刺し殺し、妻は長男を散弾銃で頭を殴り加勢した。長男は死に、夫はすぐ警察に連絡する。
 事件後、生徒や知人は殺さざるを得なかった夫の減刑を嘆願した。被告の夫は長男に字は違うが同じ読みの名前をつけた。夫は涼、長男は諒である。夫は自宅で勉強会をするなど教育熱心な人物で、妻はそんな夫を尊敬し、従順であった。誰もが信じられない事件だった。
 この事件に東京精神医学総合研究所の斉藤学氏は「役割や規範にとらわれすぎた家族が陥った悲劇だ」という。つまり、父親は教師ロボットとして理想的であったが、自分のほんとうの欲求がなんだかわからなくなってしまっている。母親も自分の欲求を抑えるようにして父親に尽くしてきた。その姿をいち早く長男が気づき、犯行をするも自分を押し付ける父や母にいい子は生かし、悪い子は殺すという究極の選択をされた。普段から夫婦は喧嘩ひとつしたことがない。自分の欲求を抑えることで体面を保ってきた母親。母親が変わらなければ、長男も変わらない。父親も健全といえる家庭の中で仮面の家庭の部分を作っていたのだ。