過去ログ (その1)150冊
平成12年10月30日〜平成13年3月24日
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No | 掲載した日 | 著 者 | 書 名 | おすすめ度 |
150 | 2001-03-24 | 深谷 忠記 | ソドムの門 | ★★★★★ |
149 | 2001-03-23 | 平岩 弓枝 | 幸福の船 | ★★★★ |
148 | 2001-03-22 | 東野 圭吾 | 予知夢 | ★★★★ |
147 | 2001-03-21 | 岩井 志麻子 | 岡山女 | ★★★★★ |
146 | 2001-03-20 | 宇江佐 真理 | 雷桜 | ★★★★★ |
145 | 2001-03-19 | 内田 康夫 | はちまん 上・下 | ★★★★ |
144 | 2001-03-18 | 小杉 健治 | 殺人法廷 | ★★★★★ |
143 | 2001-03-17 | 沢木 冬吉 | 愛こそすべてと愚か者は言った | ★★★★ |
142 | 2001-03-16 | 天童 荒太 | 家族狩り | ★★★★★ |
141 | 2001-03-15 | 伊野上 裕伸 | 祝宴の闇 | ★★★★★ |
140 | 2001-03-14 | 沢木 耕太郎 | 血の味 | ★★★★★ |
139 | 2001-03-13 | 村上 龍 | アウエーで戦うために | ★★★ |
138 | 3001-03-12 | 大谷 羊太郎 | 京都3年坂殺人事件 | ★★★★★ |
137 | 2001-03-12 | 曽野 綾子 | いい人をやめると楽になる | ★★★ |
136 | 2001-03-11 | 堂陽 瞬一 | 8年 | ★★★★ |
135 | 2001-03-10 | 井沢 元彦 | 1千年の陰謀 平将門の呪縛 | ★★★★★ |
134 | 2001-03-09 | 宮部 みゆき | ぼんくら | ★★★★ |
133 | 2001-03-08 | 大沢 在昌 | 撃つ薔薇 | ★★★★★ |
132 | 2001-03-07 | 馳 星周 | 不夜城 | ★★★★ |
131 | 2001-03-06 | 矢月 秀作 | リターン | ★★★★★ |
130 | 2001-03-05 | 山本 文緒 | プラナリア | ★★★★ |
129 | 2001-03-04 | 真保 裕一 | ボーダーライン | ★★★★ |
128 | 2001-03-03 | 内田 康夫 | 貴賓室の怪人 ―「飛鳥」編― | ★★★ |
127 | 2001-03-02 | 群 ようこ | 群ようこのビーの話 | ★★★★★ |
126 | 2001-03-01 | 笠井 潔 | 天使は探偵 スキー探偵 大鳥安泰 | ★★★ |
125 | 2001-02-28 | 和田 秀樹 | 学力再建 | ★★★★ |
124 | 2001-02-27 | 北野 武 | 余生 | ★★★★ |
123 | 2001-02-26 | 群 ようこ | 働く女 | ★★★★ |
122 | 2001-02-25 | 黒沼 克史 | 少年にわが子を殺された親たち | ★★★★ |
121 | 2001-02-24 | 山田 詠美 | A2Z エイ・トゥ・ズィ | ★★ |
120 | 2001-02-23 | 渡辺 容子 | 流さるる石のごとく | ★★★ |
119 | 2001-02-22 | 東野 圭吾 | 秘密 | ★★★★ |
118 | 2001-02-21 | 新津 きよみ | 生死不明 | ★★★★★ |
117 | 2001-02-20 | 森村 誠一 | エネミイ | ★★★★★ |
116 | 2001-02-19 | 村上 春樹 | スプートニクの恋人 | ★★★ |
115 | 2001-02-18 | 小川 竜生 | アメイジング・グレイ | ★★★ |
114 | 2001-02-17 | 天童 荒太 | 孤独の歌声 | ★★★★★ |
113 | 2001-02-16 | 枝川 公一 | 銀座四丁目交差点 | ★★★ |
112 | 2001-02-15 | 西村 京太郎 | 十津川警部 殺しのトライアングル | ★★★★ |
111 | 2001-02-14 | 西村 京太郎 | 愛と死の伝説 上・下 | ★★★★★ |
110 | 2001-02-13 | 宮崎 学 | 涙を忘れた日本人のために | ★★ |
109 | 2001-02-12 | 真保 裕一 | ストロボ | ★★★★ |
108 | 2001-02-11 | ヒキタクニオ | 凶器の桜 | ★★★ |
107 | 2001-02-10 | 川村 晃 | 宮本武蔵 物語と史蹟をたずねて | ★★★ |
106 | 2001-02-09 | 内館 牧子 | 愛しすぎたら愛は死ぬ | ★★★ |
105 | 2001-02-08 | 箒木 蓬生 | 空山 | ★★★★★ |
104 | 2001-02-07 | 阿井 渉介 | 魂丸 | ★★★★★ |
103 | 2001-02-06 | 乙武 洋匡 | 乙武レポート | ★★★★ |
102 | 2001-02-05 | 柳 在順 | 下品な日本人 | ★★ |
101 | 2001-02-04 | 董 竹君 | 大河奔流 上・下 | ★★★★★ |
100 | 2001-02-03 | 村松 友視 | 黒い花びら | ★★★ |
99 | 2001-02-02 | 内田 康夫 | 秋田殺人事件 | ★★★★★ |
98 | 2001-02-01 | 宮本 輝 | 睡蓮の長いまどろみ 上・下 | ★★★★ |
97 | 2001-01-31 | 高杉 良 | 再生 上・下 続・金融腐食列島 | ★★★★★ |
96 | 2001-01-30 | 小出 義雄 | 高橋尚子金メダルへの絆 | ★★★ |
95 | 2001-01-29 | 緒川 薫 | 真夏のメリークリスマス | ★★★ |
94 | 2001-01-28 | 高嶋 哲夫 | フレンズシックスティーン | ★★★ |
93 | 2001-01-27 | 三宅 彰 | 殺意 | ★★★★ |
92 | 2001-01-26 | 伊坂 幸太郎 | オーデュポンの祈り | ★★★ |
91 | 2001-01-25 | 戸梶 圭太 | 溺れる魚 | ★★★★★ |
90 | 2001-01-24 | 小川 竜生 | それでも空は晴れていて | ★★★ |
89 | 2001-01-23 | 木谷 恭介 | 加賀百万石伝説殺人事件 | ★★★ |
88 | 2001-01-22 | 篠田 節子 | 百年の恋 | ★★★★ |
87 | 2001-01-21 | 川田 弥一郎 | 江戸の検屍官 闇女 | ★★★ |
86 | 2001-01-20 | 鳴海 章 | 死者の森 | ★★★★★ |
85 | 2001-01-19 | 恩田 陸 | ライオンハート | ★★★ |
84 | 2001-01-18 | 内田 康夫 | 不知火海 | ★★★★★ |
83 | 2001-01-17 | 関 裕二 | 沈黙する女王の鏡 | ★★★★ |
82 | 2001-01-16 | 石川 英輔 | 大江戸えころじー事情 | ★★★★ |
81 | 2001-01-15 | 塙 ちと/文・小林/写 | 日本の世界遺産 | ★★★★ |
80 | 2001-01-14 | 今野 敏 | ビート | ★★★★ |
79 | 2001-01-13 | 斎藤 栄 | 大地震 台湾殺人事件 | ★★★ |
78 | 2001-01-12 | 水上 勉 | 仰臥と青空 「老・病・死」を超えて | ★★ |
77 | 2001-01-11 | 小杉 健治 | 冤罪 | ★★★★★ |
76 | 2001-01-10 | 野沢 尚 | 深紅 | ★★★★★ |
75 | 2001-01-09 | 門野 晴子 | 密着母娘 誤った母と正しいつもりの娘 | ★★★★★ |
74 | 2001-01-08 | 岳 真也 | 言い分の日本史 | ★★★ |
73 | 2001-01-07 | 大沢 在昌 | 心では重すぎる | ★★★★ |
72 | 2001-01-06 | 宇江佐 真理 | 春風ぞ吹く 代書屋五郎太参る | ★★★★ |
71 | 2001-01-05 | 大江 健三郎 | 取替え子 チェンジリング | ★★★★ |
70 | 2001-01-04 | 森村 誠一 | 法王庁の帽子 | ★★★ |
69 | 2001-01-03 | 芦沢 俊介 | ついていく父親 | ★★★ |
68 | 2001-01-02 | 浅田 彰・田中 康夫 | 新・憂国呆談 神戸から長野へ | ★★★ |
67 | 2001-01-01 | 内海 隆一郎 | 大づち小づち | ★★★★★ |
66 | 2000-12-31 | 河野 多恵子 | 秘事 | ★★★ |
65 | 2000-12-30 | 新野 剛志 | もう君を探さない | ★★★★★ |
64 | 2000-12-29 | 歌川 豊國 | 96歳の大学生 | ★★★★ |
63 | 2000-12-28 | 小杉 健治 | 境界殺人 | ★★★★ |
62 | 2000-12-27 | 柳 美里 | ゴールドラッシュ | ★★★★★ |
61 | 2000-12-26 | 林 真理子 | ミスキャスト | ★★★★★ |
60 | 2000-12-25 | 桐野 夏生 | ローズガーデン | ★★★★ |
59 | 2000-12-24 | 恩田 隆 | 月の裏側 | ★★★ |
58 | 2000-12-23 | 樋口 京輔 | フラッシュ・オーバー | ★★★★★ |
57 | 2000-12-22 | 北原 亞以子 | 峠 慶次郎縁側日記 | ★★★★ |
56 | 2000-12-21 | 童門 冬ニ | 幕末の武蔵 | ★★★★ |
55 | 2000-12-20 | 大沢 在昌 | 新宿鮫 風化水脈 | ★★★★★ |
54 | 2000-12-19 | 飯島 愛 | プラトニック・セックス | ★★★★ |
53 | 2000-12-18 | 柳 美里 | 魚が見た夢 | ★★★ |
52 | 2000-12-17 | 夏樹 静子 | 茉莉子 | ★★★★★ |
51 | 2000-12-16 | 宗田 理 | 消えた五百億円 | ★★★★★ |
50 | 2000^12-15 | 大仁田 厚 | 高校生日記 | ★★★ |
49 | 2000-12-14 | 高任 和夫 | 告発倒産 | ★★★★★ |
48 | 2000-12-13 | 森村 誠一 | 砂漠の喫茶店 | ★★★★ |
47 | 2000-12-12 | 折原 一 | 倒錯の帰結 | ★★★★★ |
46 | 2000-12-11 | 桐野 夏生 | 光源 | ★★★★ |
45 | 2000-12-10 | 池宮 彰一郎 | 本能寺 上・下 | ★★★ |
44 | 2000-12-09 | 大平 光代 | だから、あなたも生きぬいて | ★★★★★ |
43 | 2000-12-08 | 吉本 ばなな | 体は全部知っている | ★★★★ |
42 | 2000-12-07 | 岩井 志麻子 | ぼっけえ、きょうてえ | ★★★★★ |
41 | 2000-12-06 | 曽野 綾子 | 自分をまげない勇気と信念のことば | ★★★ |
40 | 2000-12-05 | 伊野上 裕伸 | 取込詐欺師 バッタ屋啓輔 | ★★★★★ |
39 | 2000-12-04 | 姫野 カオルコ | 整形美人 | ★★★★ |
38 | 2000-12-03 | 五木 寛之 | 四季・亜紀子 上・下 | ★★★★ |
37 | 2000-12-02 | 内田 康夫 | 氷雪の殺人 | ★★★★★ |
36 | 2000-12-01 | 天童 荒太 | あふれた愛 | ★★★★ |
35 | 2000-11-30 | 箒木 蓬生 | 安楽病棟 | ★★★★ |
34 | 2000-11-29 | 筑波 昭 | 津山三十人殺し | ★★★★★ |
33 | 2000-11-28 | 逢坂 剛 | 配達される女 | ★★★★ |
32 | 2000-11-27 | 重松 清 | ビタミンF | ★★★★ |
31 | 2000-11-26 | 柳 美里 | 命 | ★★★★ |
30 | 2000-11-25 | 乃南 アサ | 鎖 | ★★★★★ |
29 | 2000-11-24 | アラン・ビーズ/他 | 話を聞かない男地図が読めない女 | ★★★ |
28 | 2000-11-23 | 美輪 明宏 | 強く生きるために | ★★★ |
27 | 2000-11-22 | 永 六輔 | あの世とこの世 | ★★★★★ |
26 | 2000-11-21 | 梓 林太郎 | 尾瀬ヶ原殺人事件 | ★★★★★ |
25 | 2000-11-20 | 新井 満 | 黒い傷のある部屋 | ★★★ |
24 | 2000-11-19 | 夏樹 静子 | 贈る証言 弁護士朝吹里矢子 | ★★★★★ |
23 | 2000-11-18 | ダニエル・スティール | つばさ 上・下 | ★★★★★ |
22 | 2000-11-17 | 宮部 みゆき | 蒲生邸殺人事件 | ★★★★★ |
21 | 2000-11-16 | 平野 啓一郎 | 日蝕 | ★★★ |
20 | 2000-11-15 | ダニエル・スティール | 無言の名誉 上・下 | ★★★★ |
19 | 2000-11-14 | スーザン・ファワード | 毒になる親 | ★★★★ |
18 | 2000-11-13 | 土居 健郎 | 「甘え」の構造 | ★★ |
17 | 2000-11-13 | 乃南 アサ | 花散る頃の殺人 | ★★★★ |
16 | 2000-11-12 | 貴志 祐介 | 青の炎 | ★★★★ |
15 | 2000-11-11 | 佐野 真一 | 東電OL殺人事件 | ★★★ |
14 | 2000-11-10 | 深谷 忠記 | 十五年目の序章 | ★★★★ |
13 | 2000-11-09 | 柳 美里 | 女学生の友 | ★★★★ |
12 | 2000-11-08 | 東野 圭吾 | 白夜行 | ★★★★ |
11 | 2000-11-08 | 乃南 アサ | ピリオド | ★★★ |
10 | 2000-11-07 | 小野 不由美 | 屍鬼 上・下 | ★★★★ |
9 | 2000-11-07 | 大沢 在昌 | 夢の島 | ★★★★★ |
8 | 2000-11-07 | 町田 康 | きれぎれ | ★ |
7 | 2000-11-07 | 横山 秀夫 | 陰の季節 | ★★★★ |
6 | 2000-11-04 | ダニエル・スティール | 敵意 上・下 | ★★★★★ |
5 | 2000-11-01 | なかにし 礼 | 長崎ぶらぶら節 | ★★★★ |
4 | 2000-10-31 | 乙武 洋匡 | 五体不満足 | ★★★★ |
3 | 2000-10-30 | 桐生 操 | 本当は恐ろしいグリム童話 | ★★★★★ |
2 | 2000-10-30 | 浅田 次郎 | 天国への百マイル | ★★★★★ |
1 | 2000-10-30 | 真保 裕一 | ホワイトアウト | ★★★★★ |
[150]■ ソドムノ門 |
Date: 2001-03-24(Sat) |
おすすめ度 ★★★★★
深谷 忠記 著 祥伝社 発行:1999年1月
立花史郎は医学ボランティアでカルマナームという投薬を受け、強い下痢を起こした。森本一彦は十年前、風邪で仁愛病院で投与されたカルマナームが原因で窓枠に登り、パイプ椅子の上に落ち脊髄損傷が原因で車椅子の生活になっていた。
中央日報の佃は東西薬品のカルマナームの副作用で3人が死んだ薬害について明かにしようとしていた。
◆薬=毒という感情を与えるl。薬が一般に出回る認可に至るまでの実験がラットだけでなく、生きた人間にも及んでいるという事にぞっとした。
しかも、薬の効果はそう高い率でもないのに認可されてしまう。
[149]■ 幸福の船 |
Date: 2001-03-23(Fri) |
おすすめ度 ★★★★
平岩 弓枝 著 新潮社 1998年11月
三帆子は、結婚式直前で破談になった気持ちを癒すために幼稚園を辞め、世界一周の旅に出た。
船上でいろいろな人々との事件を知る。70代の女優とその恋人。二度目の若妻に奔走され、疲れて無理心中をする弁護士など。
途中でローマで日本へ帰ることになった。同僚がガンで子供たちの先生がいなくなった。急きょ飛行機に乗る。
◆平岩弓枝は、優雅な金持ちが出てくるドラマのような小説が多い。今回もしかり。少し生ぬるい感じになる。
[148]■ 予知夢 |
Date: 2001-03-22(Thu) |
おすすめ度 ★★★★
東野 圭吾 著 文芸春秋 2000年6月
坂本信彦は27歳。未来の結婚をする相手の名前は「モリサキレミ」だった。
これは、小学校4年生の文集にも信彦が書いている。
世田谷でひき逃げ事件が発生。犯人は直前に森崎礼美の家に忍び込む。家人に気がつかれあわてて逃げる途中で、ひき逃げ事故を起こした。
取り調べるうちに、自分の結婚する相手が17年前の文集に書かれており、当の「森崎礼美」は現在16歳である。
生まれる前から予知していたことになる。しかも世田谷と江東区はあまりに離れている。小学4年生が一人で行ける距離ではない。
森崎礼美をなぜ知っていたのか。信彦自身はやさしい普通の男性である。
信彦の小学2年生の時の写真に人形を抱いたものがあった。人形がなぞを解くかぎになる。
[147]■ 岡山女 |
Date: 2001-03-21(Wed) |
おすすめ度 ★★★★★
岩井 志麻子 著 角川書店 発行:2000年11月
タミエは13、4歳の頃から妙に女ぽかった。常に世話をしたいという小金持ちが現れていた。
菓子製造で財を成した宮一という旦那に囲われる。が、タミエが17、8歳の頃、商売が傾き宮一はタミエに日本刀で切りかかり自らも自害して死んだ。
タミエは一命をとり止めたが、左目はひきつり失明した。
霊感が働くようになり、見えないはずの左り目で霊視できると評判になり、客が増えていった。しかし、死霊より怖いのは生きた生霊だった。
骨董品屋の老婆に催眠術をかけられ双子の姉妹を演ずる女。珈琲屋の婿養子は不義密通の上義母を殺し中庭に埋めた事。母を慕う十歳の絵師はやっと会えた母を刺し殺す。母親に殺されかけた男児が恋した女は母親そっくりの女。など6篇。
◆岡山弁で会話が書かれている。じっくり読んで「しわぁ〜っ」と恐ろしさが沸いてくる。不気味な話しの連続である。話しは明治の日本の姿である。類のない面白さがある。
[146]■ 雷桜 |
Date: 2001-03-20(Tue) |
おすすめ度 ★★★★★
宇江佐 真理 著 角川書店 発行:2000年4月
幼い頃連れ去られた娘が山の中で狼女のように育ち、ひょっとしたことから紀州の殿様の子を身ごもるという話。
雛の節句の日、雷が激しくなり、その夜生まれて1年に満たない女の子の赤ちゃんが連れ去られた。瀬田村の庄屋の娘の遊である。
村中で探したが見つからないまま月日がたった。
ある日、遊の兄の助次郎が江戸から戻る時に13歳の男のような女に山中であう。道に迷ったところを助けられた。再び会ったとき、「おまえには本当の親がいる。困ったことがあればいつでも待っている」と親の名を告げる。
そして2年後、遊は里にもどる。15歳になっていた。養父を亡くしたと言う。
助次郎は眠れぬ殿に妹の話をする。興味を持った殿は転地療養で瀬田村へ行く。野放図に育った遊に殿は側室の話をするが断る。やがて・・・・
◆何年も会わなくても、血のつながりという勘なのか妹と見ぬいてしまう。親も大喜びをする。遊は忍者者の養父山中で育てられていた。養父はとうとう帰ってこなくなり里に下りた。水戸黄門をみるよりずっと面白い。
[145]■ はちまん 上・下 |
Date: 2001-03-19(Mon) |
おすすめ度 ★★★★
内田 康夫 著 角川書店 発行:1999年1月
神風特別攻撃隊のうち八幡と名のつく隊があった。事件は、この隊の仲間が次々と事故に会う。
長野で神社巡りをしていた飯島昭三に会った美由紀は、後でこの人が殺されたことを知る。
祖母の小内を捜していた人である。
サッカーくじ法案にやっきになっている金久保議員は高知で美由紀の婚約者の松浦を下請けの土木業者のトラックに追突事故で殺してしまう。
浅見光彦が調べるうちに金久保は・・・
[144]■ 殺人法廷 |
Date: 2001-03-18(Sun) |
おすすめ度 ★★★★★
小杉 健治 著 双葉社 発行:2000年9月
元刑事の夏見の親友粟野が保険金殺人のルポを追っていた。婚約したという彼が行方不明になった。
不動産会社社長の森崎善之助と40歳も年下の美緒が後妻で入って、三年後夫は海に転落して死亡。そして2年半後、竜野という40歳の男も青酸カリを飲まされて死んだ。「美緒にだまされた」と死ぬ前に言った事から、美緒は殺人容疑で拘束される。その事件を粟野が追っていた。
親友の行方を追っているうちに、美緒と代議士に立候補しようとする南条の関係を知る。やがて、粟野は白骨肢体で発見される。
◆多額の保険金が動く。夫の一億円、内縁の男の一億と。最後は思わぬ方向へ展開するが、女の一途な思いが事件の真相を阻み、なかなか見えない。だから面白い。双方を担当する弁護士と検事は昔の恋人同士だったり・・・・他にもいろいろな絡みがあって複雑ではあるが面白くしている。
[143]■ 愛こそすべてと愚か者は言った |
Date: 2001-03-17(Sat) |
おすすめ度 ★★★★
沢木 冬吉 著 新潮社 発行:1999年1月
元刑事で今は探偵事務所を営む久瀬のところに警察から電話がかかった。
7年前に別れた前妻と住む7歳の息子慶太が誘拐された。ぜひ捜査に協力して欲しいという。
現金の受け渡し役をする。息子は無事にもどるが、前妻とその夫は行方不明になる。
久瀬は息子と暮らし始める。
◆「愛があれば・・・」という親子関係。しかも7年間空白。でも、本当に愛があれば・・・なんです。不器用でもかっこいい言葉や見せかけではなく本能的に子供は感じ取るものなのです。血より愛です。これは経験から自信を持って言えます。
[142]■ 家族狩り |
Date: 2001-03-16(Fri) |
おすすめ度 ★★★★★
天童 荒太 著 新潮社 発行:1995年11月
下井草の麻生家で両親と祖父、中学生男児が死んでいた。両親は口にテニスボールで猿ぐつわされ、父親は生きながらノコギリで切られ、母親は乳房をきりとられ、祖父は金槌で打殺されていた。
次に富士見台で顔を焼かれた両親と灯油を飲んで死んだ少年は登校拒否状態だった。
白蟻駆除業者が「家族の教室」という電話相談をしていた。夫婦は自慢の息子を高校受験で失敗し暴力を繰り返し思い余って父が息子を殺していた。
犯人は以外にも・・・
◆残忍な殺人描写がでてくる。「真実の愛を伝える姿を見せてやらねば・・・」という犯人の目的。これほどひどい殺人はそうあるまい。少し分厚いが面白い。そして考えさせられる。お薦めです。
[141]■ 祝宴の闇 |
Date: 2001-03-15(Thu) |
おすすめ度 ★★★★★
伊野上 裕伸 著 中央公論社 発行:1998年1月
店長に会いたいと石田加代がブライダルサロンの宮内久美子の所にくる。
加代は、久美子と義父とがラブホテルから出るところの写真に5000万円を要求する。今は使わなくなった旅館「みやうち」を放火し保険金で支払おうと久美子は火をつける。
保健調査員の相沢が調べるうち今度はブライダルサロンも焼ける。
義父が夫に命じてやらせた事だった。久美子も命を狙われる。
◆保険調査員という職業があることを知った。お金のために親子関係も壊れる。
[140]■ 血の味 |
Date: 2001-03-14 (Wed) |
おすすめ度 ★★★★★
沢木 耕太郎 著 新潮社 発行:2000年10月
少年院をでてから、篤志面接委員と称する文房具屋店主のすすめで会計事務所で働く。
大学入学資格検定に合格。国立大の二部に入り、卒業するまでに税理士の試験に合格。卒業後、公認会計士に合格する。30歳で結婚する。
中学3年の時に人を殺して少年院に入る。ナイフで人を殺した。母は小学高学年のときに妹を連れて出ていった。父とアパートで2人暮しだった。
風呂屋で会う女装の男と話をするようになる。殺したのはこの男ではない。
殺したのは・・・だった。
◆「中学3年の冬、私は人を殺した。ナイフで胸を一突きした。」という書き出しで始まる。だから、登場人物がこれが殺される人かと、どきどきさせられる。主に中学生の頃のことを振り返る。不良でない、普通の男の子である。
よく本を読む子だった。書き出しに引き込まれ次を急ぐおもいで読めた。
[139]■ アウエーで戦うために |
Date: 2001-03-13 (Tue) |
おすすめ度 ★★★
村上 龍 著 光文社 発行:2000年12月
1998年のペルージャの開幕戦に20日間滞在して、以来5回。中田の応援に行く。そして、中田はローマへ移籍した。
名波も少しづつセリエAに適応していた。特に非EUからの「外国人選手」に求められるのは即効性だ。名波にボールをまわしてくれるのを待つのではなく、簡単にボールを奪われない、すごいパスをするという仲間の信頼を勝ち取らなくてはボールは回ってこない。
信頼を勝ち取って初めて中田のようにボールが集まるのだ。
浦和レッズのJ2に転落という最終戦は優勝戦より面白かった。必死が面白くする。
◆週刊誌に連載していた2年分を単行本にした。熱心なファンの一面を見ることが出きる。その時々の社会問題にもふれ、Jリーグファンでなくても読める。
[138]■ 京都三年坂殺人事件 |
Date: 2001-03-12 (Mon) |
おすすめ度 ★★★★★
大谷 羊太郎 著 双葉社 2001年1月
夫弦一郎(45歳)の手帳に挟まれていた「また、三年坂にきて・・9月5午後三時・・・」というメモを見て妻の霧代は京都へ行く。
三年坂で待っていたが夫は現れなかった。八木沢警部補と知り合う。
銀座のバー「三年坂」の前で夫と以前妹のように面倒を見た加津子が一緒のところを見てしまった霧代は、夫のキーホルダーから見なれぬキーをコピーする。加津子の部屋の鍵だった。
やがて、加津子が殺される。夫に容疑がかかる。八木沢に「夫は決して犯人ではない」と協力を求める。
加津子の死体のまわりに散らばっていた48万円の金。鍵を持っている霧代は自分がやったと自首する。同じ頃夫も自白する。
八木沢は真相を究明すべく・・・
◆お互いを思いやっての自首に、以外にも別の事件が絡んで面白くしている。美人の人妻は得てして人は殺さないという定番。でも一気に読め面白い。
[137]■ いい人をやめると楽になる |
Date: 2001-03-12 (Mon) |
おすすめ度 ★★★
曽野 綾子 著 祥伝社 発行:1999年2月
週刊誌を読んで憤慨したり喜んだりする女性を見ると、むだな情熱に時間を費やし世間を簡単に信じる善良さを追放しなければならない。
妻や秘書がしたことでも「知らなかったとしても私の監督不行き届きでした」と言える姿勢がない人には人を率いていくことはできない。
人は少し貧しく少し閑であることが必要なのだろう。そうでなければ、どのような優しさも示すことができない。
◆極めつけは「多くはただその人が勝手に持つことにした向上心が原因」としている。私たちは人の目を気にするあまりいい人なのだろうか。自然に手を差し伸べる優しい人もいる。こうあるべきだという姿は人によって物差しの長さがちがわないかい? なるほど半分、いや・・・が半分だった。
[136]■ 8年 |
Date: 2001-03-11 (Sun) |
おすすめ度 ★★★★
堂陽 瞬一 著 集英社 発行:2001年1月
ピッチャーの藤原はバルセロナなど2度のオリンピックにでて、プロ入りを噂されたが突如すべてを断り野球界から消えた。
この間、藤原は娘の病魔と闘っていた。7年後介護の甲斐なく娘は死んだ。
再びプロに挑戦し、ニューヨークのフリーパーズに入団する。33歳だった。
フリーパーズは弱いチームだった。藤原は一緒に入団した19歳の常盤とともにトレーニングに励む。藤原にはオリンピックの時から、ヘルナンデスとの勝負にかけていた。
やがて、藤原はニューヨークファンの心をつかみ楽しませるチームになった。
ヘルナンデスとの対決!・・・
◆難病の娘のために野球を捨てるということが出きる男はそういない。男はともすれば大黒柱だから、その気があっても経済的な基盤がなければ難しい。
だから、絵になるのかもしれない。夢を捨てないで挑戦する事が素晴らしい!
[135]■ 1千年の陰謀 平将門の呪縛 |
Date: 2001-03-10 (Sat) |
おすすめ度 ★★★★★
井沢 元彦 著 角川書店 1999年11月
平将門の血を引く大学生竜野隆之は、夢の中で瀧夜又姫から平将門が護持していた三種の神宝を守るようお告げを受ける。
大学生の隆之は超常現象研究会に入り、麻世と共に伝説の神宝をもとめ東奔西走する。
北陸の原発がアジアのテロリストに占拠される。日本最大の危機に内閣も国民も揺れる。隆之の不思議な力でそれらを救うことができるか。
◆伝説のロマンと原発の占拠とが合わさって不思議な感じであるが、合戦が現代では原発の爆破と匹敵するのかと・・・こわいですよ。これは。
[134]■ ぼんくら |
Date: 2001-03-9 (Fri) |
おすすめ度 ★★★★
宮部 みゆき 著 講談社 発行:2000年4月
深川の北町に鉄瓶長屋が建っていた。二階建ての間口2間の三棟長屋だった。それが2棟建ち裏にも間口1間半の棟割り十軒長屋が1棟あった。
長屋の持ち主の総右衛門には、1年ばかり前にめとったおふじという妻がいた。
葵と言う女が子連れで住み込み、それをおふじがよく思わなかった。
ある日、急に葵がいなくなり、殺されて床下に埋められたと思われた。
おふじもそう思いこんで影におびえていた。
20年後、掘り起こしても何も出てこなかった。葵は生きていた。
◆昔の町並みの描写を想像したり、20年も悩むより行動を起こしてしまうであろう現代人には、穏やかな時代を感じる。
今週は、以前に読んだ本の紹介が多いです。
[133]■ 撃つ薔薇 |
Date: 2001-03-08 (Thu) |
おすすめ度 ★★★★★
大沢 在昌 著 光文社 1999年6月
女刑事櫟(くぬぎ)涼子はアンダカバー(潜入捜査)として、中央区の佃島からコンテナで積荷の摘発のために監視をする。
ヘロインの原料阿片でブラックボールという合成麻薬の監視をはじめる。警察はやめたことにして、ホーという男が運転手を捜していることをきっかけに入り込む。
ある日、尾行をまき、目的地に車をつける。社長はこの捜査で好意を寄せた龍だった。涼子は刑事として龍を撃つことに・・・
[132]■ 不夜城 |
Date: 2001-03-07 (Wed) |
おすすめ度 ★★★★
馳 星周 著 角川書店 1996年8月
歌舞伎町の中国社会の物語。日本名高橋健一18歳は台湾人を父に持ち、母と13歳のとき父の死後 楊偉民を頼って上京し、大久保で暮らしていた。
佐藤夏美と知り合う。夏美も中国の引揚者だった。
自分の恋人を捜す呉富春と出会う。富春の恋人は夏美だった。夏美は17歳のとき千葉の実家を飛び出していた。
夏美は実は・・・
◆1998年に金城武主演で映画化された。
[131]■ リターン |
Date: 2001-03-06 (Tue) |
おすすめ度 ★★★★★
矢月 秀作 著 中央公論社 発行:2000年12月
高校生のとき、一ノ瀬は親友の勝村を近隣の不良高校生の城戸に銃殺される。
一ノ瀬はその後警察官になる。もう一人の親友阿南は勝村の妹と結婚し、今は市議会議員になり、水産加工センターの建設に関わっていた。
勝村を殺した城戸は少年院を出た後も、ヤクザになり銃の密造や阿南の水産加工センターに関わり甘い汁をたくらんでいた。
13年後、城戸は阿南に近づき、一ノ瀬は阿南の危機を救おうと・・・
◆久しぶりにすっとするようなハードボイルドもの。一ノ瀬の丸腰の正義感がいい!
[130]■ プラナリア |
Date: 2001-03-05 (Mon) |
おすすめ度 ★★★★
山本 文緒 著 文芸春秋 発行:2000年10月
「プラナリア」とは渓流などに住み、半分に千切られても切られた部分が1体となって増えていくナメクジみたいなやつ。
私は「次に生まれたらプラナリアになりたい」とか「乳がんだった」といってしまって、豹介から「盛り上がっているときにそんなことを言うな」と言われる。
24歳で右胸を取った。豹介とは乳がんが発覚する前に知り合った。
ある日、駅で貧血を起こして気分が悪くなり、甘納豆屋さんに助けられる。それが縁で甘納豆屋で働くようになった。
親切にしてもらうのだが、ある時宅急便を受け取る。中身は癌の本6冊とプラナリアのカラーコピーのようなものだった。甘納豆屋のおばちゃんが親切で送ってくれたのだが、癌の写真をよく見もしないで押入れに・・・。宅急便が届いた後仕事は辞めてしまった。
◆深い傷を負うと他人には分からない行動をする主人公が、突き放せないような気になる。ショックだったのだろう。他4篇。
[129]■ ボーダーライン |
Date: 2001-03-04 (Sun) |
おすすめ度 ★★★★
真保 裕一 著 集英社 発行:1999年9月
ロサンゼルスで私立探偵をする永岡修のもとに、「安田信吾 24歳を捜してくれ」と2枚の写真と共に依頼がある。群馬県高崎市出身で5年ぐらい前に警備員として働いた後の消息がない。
アメリカのバーの前で撮った写真を手がかりに、その店を見つける。今は服役中の男からサニーの友達が安田信吾だと聞かされる。
安田信吾とエルセントロ・サウスで会うがいきなり発砲される。
安田の父英明がやってくる。追うように信吾の妹の真由美が「父は兄を捜して連れ戻すのではなく、父は兄を殺すためにアメリカへ来た」と告げる。
[128]■ 貴賓室の怪人 ―「飛鳥」編― |
Date: 2001-03-03 (Sat) |
おすすめ度 ★★★
内田 康夫 著 角川書店 発行:2000年9月
今回の浅見光彦は世界一周の豪華客船「飛鳥」に乗って、22ヶ国の旅をする。「旅と歴史」の編集長の依頼で旅費も出してもらっての旅である。飛鳥の旅はロイヤルスートで1500万円。その下でも1050万円。一番安くても300万円である。
出航前に「貴賓室の怪人に気をつけろ」のメモを受け取る。この旅には軽井沢の内田康夫という作家夫婦も同船していた。夫婦はロイヤルスイートである。
香港で浅見と同室の村田満が帰船しないまま次の目的地へ出航した。シンガポールに差し掛かる頃、低温倉庫の中に万一のための遺体安置ケースになんと村田満の死体があった。死後4〜5日たっている。
村田は暴力団であった。乗船したスイートの中に村田に恨みを持つものが4人いることが分かる。村田は、あることに因縁をつけて脅すということをやっていた。なかなか犯人の手がかりがつかめない。
[127]■ 群ようこのビーの話 |
Date: 2001-03-02 (Fri) |
おすすめ度 ★★★★★
群 ようこ 著 筑摩書房 発行:1999年7月
隣の家の猫ビーは、トンキニーズ(シャム猫の顔を丸くしたかわいい猫だ)。
1985年5月生まれの14歳。マンションの同じ階にモリタさんちとうちしかないため自由に行き来している。ビービー鳴くので名前はビー。
ベランダの仕切りをくぐりやってくる。
「うにゃにゃ!」「にゃあにゃあ」「うーにゃあ、うーにゃあ」「おーわぁーおーわぁー」猫は人間の言う事がわかっている。
一度飼われた猫は話しかけると「にゃあ」と鳴くが野良猫は鳴かない。
[126]■ 天使は探偵 スキー探偵 大鳥安寿 |
Date: 2001-03-01 (Thu) |
おすすめ度 ★★★
笠井 潔 著 集英社 2001年2月
「空中浮遊事件」平日の夕方、人気の少ない最終に近いリフトに黒マントの男が乗った。安寿たちも乗り合わせた。が、男は山頂に行く前に忽然と消えた。
やがて、空地の雪に埋もれるように死んでいる男を発見。空中から落ちたように、周りに足跡がない。・・・・???
「屍体切断事件」八神村営スキー場で切断屍体がゲレンデに散乱していた。首だけがない。カマイタチの神罰か???
ほかに「吹雪山荘事件」「白骨屍体事件」の4篇。
パジャマのような服を着た信者。とか教祖などが登場する。不気味な小説である。
[125]■ 学力再建 |
Date: 2001-02-28 (Wed) |
おすすめ度 ★★★★
和田 秀樹 著 PHP研究所 2001年1月
名門大学の中に「分数ができない大学生」がいると、京大、慶応大の教授が危惧している。
「日本人は勤勉だ。」は「神話」になりつつある。東京都の調査でも中学二年生が家で勉強するという生徒は年々低下している。実に43%は家ではまったく勉強しないという。
アメリカが1980年代に「激しい学力低下が問題」とされ「教育改革」に向かう。イギリスでも「子供中心主義の教育」が進められた。
日本が「ゆとり教育」の改革もせず「日本の子供は勉強させすぎ」という現状とかけ離れた論議をかもしていないで、今改革しないと20年後の日本が心配である。
「勉強して何になる」と子供に聞かれたら「これから大人になった将来も役に立つ能力を身につけるためだ」「日本がこのまま落ちぶれていいのか」と。
[124]■ 余生 |
Date: 2001-02-27 (Tue) |
おすすめ度 ★★★★
北野 武 著 ロッキング・オン 発行:2001年1月
大学生のとき「何も好きなことをやらないで死ぬのかな」って思うとたまらなくなって、中退し浅草の芸人になった。
7年間はフランス座にいて売れなかった。しばらくして大田プロに移籍。漫才ブームに乗り、月12万の給料が、2ヶ月後に30万、半年後に700万、1年後は1500万であった。漫才は、ツービート対大阪の芸人という感じで競争意識を持っていた。やがて「俺たちひょうきん族」をやる。
「フライデー事件」では、はじめて好きになったねえちゃんは、俺が守らなければと思ったというが、バイク事故の後別れてしまう。
謹慎中は、平成教育委員会のネタを考えていた。事故の後は、好きだった科学をやろうと「たけしの万物創世記」「アンビリーバボー」を。
そして、映画を手がけた。「その男狂暴につき・・」はひどい映画だったという。「HANA−BI」「菊次郎の夏」など多数の映画を作った。
54歳の北野武のインタビューから起こした書である。
[123]■ 働く女 |
Date: 2001-02-26 (Mon) |
おすすめ度 ★★★★
群 ようこ 著 集英社 発行:1999年12月
百貨店外商部で働くチハル。必要ないものをどうやって買わせるかが大事と部長に怒られる。
結婚したらやめる女社員達の中、トモミは30歳独身。おやじ社員たちがうるさい。そんな折、退社後の夕方コンピュータを学ぶ。会社もコンピュータ化され、一時的には優越感があったものの、おやじたちは、やがて出きる人に入力をさせ、何も変わらなかった。
和服を売る女。エステシャンでまじめに仕事をし腰痛と戦う女。父の経営するラブホテルで働く女など10篇。
[122]■ 少年にわが子を殺された親たち |
Date: 2001-02-25 (Sun) |
おすすめ度 ★★★★
黒沼 克史 著 草思社 発行:1999年10月
少年の健全育成の名のもとに加害者の少年は保護される。加害者もそれを利用して被害者の親が言われない世間の中傷に追い詰められている。
そして、一律に加害者からの謝罪の言葉はない。
裁判の様子も事件の真相もなぜそれに至ったかも、被害者の顔を見ないままに終結することさえある。
事件直後の世間やマスコミは、一応加害者の攻撃はするものの、1〜2年もすれば加害者の気持ちがわかったような、理解者のごとく振舞う。
そして、事件のことは決して頭から離れない被害者にとって、日常の生活までが脅かされる。暗い顔をしていれば「いつまで・・・」「もう許してあげたら・・」「保険金で家を建てた」「殺される側にも問題がある」など。被害を受けた上に、世間の目は加害者を見るような目でみる。
9人に集団暴行を受けて死んだ14歳の少年。
近所の子に川に突き落とされて死んだ小学校4年生。
大学3年の息子が18歳の少年グループに自転車を顔面に投げられ暴行の末死亡した事件など。
被害者の氏名や住所、家の写真まで報道されるものの加害者の親の名も住所も伏される。「一律に謝罪の言葉もない」が心に残る。やりきれない気持ちになる。
[121]■ A2Z エイ・トゥ・ズィ |
Date: 2001-02-24 (Sat) |
おすすめ度 ★★
山田 詠美 著 講談社 発行:2000年1月
夫の一浩が愛人がいることを告白した。愛人は女子大生。妻が夏美で愛人は冬子さん。妻は泣く。
が、・・・妻の夏美も郵便局に勤める成生という男と寝ていた。
35歳の夫は彼女とも、妻とも別れたくないと言った。
やがて、夫が愛人と別れたという日、「ごめんね。好きな人がいる」と夏美は告白する。夫の平手が飛んだ。
それでも、成生と相変わらず付き合っていた。成生はさりげなく去っていく。
夏美は「おかえり!」という夫がいたことを喜ぶ。
こういう道徳観のないのはどうも好きになれない。小説でも。
[120]■ 流さるる石のごとく |
Date: 2001-02-23 (Fri) |
おすすめ度 ★★★
渡辺 容子 著 集英社 発行:1999年10月
医師を夫に持つ速水圓は重症のアルコール依存症だった。
ある日夫が誘拐されたという電話が入り、ジュエリー全部と喪服を持って猿田彦神社へ行く。神社→かしこ島→名古屋と振り回される。
速水は現金十億円と共に消えた。やがて、遺体で見つかる。
犯人は以外にも・・・
[119]■ 秘密 |
Date: 2001-02-22 (Thu) |
おすすめ度 ★★★★
東野 圭吾 著 文芸春秋 1998年9月
40歳の平介は志賀高原に行くバスの事故で妻直子を失う。娘藻奈美は(小学5年生)助かった。
しかし、娘の身体を借りて妻直子が存在していた。二人の奇妙な生活が始まる。小学校、中学、高校、大学と進む。
大学生になって文也という恋人ができた。直子と藻奈美の両方が現れる。
やがて、山下公園で直子は平介に別れを告げる。娘は文也と結婚する。
平介は花嫁姿の娘を見て、妻直子はまだ藻奈美の中にまだいると思った。
小林薫と広末涼子で映画化された。
[118]■ 生死不明 |
Date: 2001-02-21 (Wed) |
おすすめ度 ★★★★★
新津 きよみ 著 実業之日本社 2000年9月
弘子の夫は4つ年上36歳で物知りでやさしい人だったが、結婚して半年目に「ちょっと、出かけてくる」と出ていったまま3年も音信不通である。
最近、「ご主人は生きています」という電話が入る。3年で離婚できると指折り数えていた弘子には、脅威だった。時々、身元不明者の確認に警察を訪れるが他人ばかりだった。
食べるために「書道教室」を開いていた。淳一という小学2年生の子がとてもなついてくれ、その父親も好意を持ってくれている。淳一の母は十ヶ月の淳一を置いて出ていった。今は父子家庭である。弘子も結婚の意志を固めていた。
ある日、裁判の傍聴をしていると被告人がいきなり夫の名を犯人として口に出す。夫は・・・
[117]■ エネミイ |
Date: 2001-02-20 (Tue) |
おすすめ度 ★★★★★
森村 誠一 著 講談社 発行:2000年9月
埼玉県H市の中学3年生がいじめを苦に自殺した。あと3ヶ月で卒業だった。
オアシスという喫茶店で4人が会っていた。
社員の裏切りが原因で経営難に陥り父が自殺した娘。目の前で婚約者が暴漢に襲われひき殺された男性。20歳の娘を暴走族によって半身不随にされた父親。暴力団の抗争の盾にされ、幼い娘を殺された父親。
被害者にとって法律は犯人の味方である。報復のための戦力を結成する約束をしていた。
そして、その標的が次々に殺される。超人気の歌手になっていた男。不良が売り物だった俳優。暴力団のボスになっていた男。精密機器の主任技術者になっていた男。
しかし、報復を誓ったもの達にはアリバイがあった。互いに誰も動いていなかった。
棟据刑事が、殺された男達は中学が同じだった。埼玉県のH市。
犯人は意外にも・・・・
[116]■ スプートニクの恋人 |
Date: 2001-02-19 (Mon) |
おすすめ度 ★★★
村上 春樹 著 講談社 発行:1999年4月
すみれが22歳のとき、ミュウという女性に恋をした。女が女を。おまけに17歳も年上の女性である。
ぼくは、すみれに恋をしていた。ミュウはご主人もいてワインの輸入や若い演奏家を見つけ出し、日本に呼ぶ仕事をしていた。すみれはそれを手伝うことになった。
ギリシャのロードス島ですみれが消えたとミュウから連絡があり、ぼくは学校を休んで飛んだ。10日たっても見つからなかった。
[115]■ アメイジング・グレイス |
Date: 2001-02-18 (Sun) |
おすすめ度 ★★★
小川 竜生 著 徳間書店 発行:2000年9月
長治は25歳になっても定職もなくぶらぶらしていた。ヨネコと同棲していた。
ある日、ヨネコは三宅会の福田に連れ去られる。長治は裏社会のドンと言われる松山静男のボディガードになる。万博のアメリカ館の前で大暴れした記事を見て松山が気に入り採用された。
リムジンに乗り、他のボディガード2人と行動を共にするようになった。
ヨネコはホステスになり、やがてママになっていた。十数年振りに長治とヨネコはヨネコの店で出会うが・・・
[114]■ 孤独の歌声 |
Date: 2001-02-17 (Sat) |
おすすめ度 ★★★★★
天童 荒太 著 新潮社 発行:1994年1月
第6回 日本推理サスペンス大賞受賞作
刑事の風希は25歳。隣に住む女子大生の京子がいなくなった。
多摩川でレジャーシートに包まれた若い女性の死体が見つかったばかり。
同級生の潤平のコンビニに強盗が入る。強盗はすぐつかまったが、防犯カメラに映った男は、レジャーシートが複数欲しかった。
男は、半透明のビニールシートをはりめぐらした部屋に京子を縛り、紙オムツをあて、口にガムテープを貼った形で監禁していた。
すでに、22歳の女優志願の子、27歳のホステスなどいずれもレジャーシートにくるんで捨てた。まだ発見されていないが24歳の重役の娘もいる。
レイプの後はないが、傷つけ、殴られながら無惨に「飼育」されていたのだ。
京子に飽きた男は、おとりに夜を歩き回る風希を狙う。
[113]■ 銀座四丁目交差点 |
Date: 2001-02-16 (Fri) |
おすすめ度 ★★★
枝川 公一 著 二見書房 発行:2000年12月
「三越前のライオン」で待ち合わせると待ち人泣かせ。「三越本店のライオン像」「銀座三越のライオン像」「ライオン」というビアホールがあり、勘違いして出会えないことになる。
和光の屋上の時計塔は世界に二つのない塔という意向で作られた。東西南北に時計がある堂々たるものだった。昭和7年の竣工。
木村屋のあんぱんは、八重桜の花びらを埋め込んで明治天皇に献上した。以来ヒット作となって今日に至っている。
外国の人が銀座四丁目交差点のネオンをカメラに納めることが多い。どういうふうにこの風景が映っているんだろう。
銀座四丁目の随筆集である。
[112]■ 十津川警部 殺しのトライアングル |
Date: 2001-02-15 (Thu) |
おすすめ度 ★★★★
西村 京太郎 著 角川春樹事務所 発行:2000年10月
水上交番に「娘が伊香保温泉にいったきり帰らない」と母親が届け出る。
草津交番では別の夫婦が娘を探してくれという。そして、伊香保交番でも「妹をさがしてくれ」と姉がくる。
いずれも21歳から23歳の若い女性ばかりが、相次いで行方不明になる。
同じ頃、新宿では中央公園で5人のホームレスが、少年達に金属バットで襲撃される。
その後伊香保温泉で行方不明になった娘の姉のところへ5000万円を要求する若い男の電話が入る。
この事件には、ある復讐が行われていた。
[111]■ 愛と死の伝説 上・下 |
Date: 2001-02-14 (Wed) |
おすすめ度 ★★★★★
西村 京太郎 著 講談社 発行:2000年11月
UFOに興味を持った元刑事と友人の小林は和倉温泉へ行く。
モーゼの墓に行くと地面に半分顔を突っ込んだ形で若い女性が死んでいた。
また、青森の十二湖でも女性の死体が浮いていた。小林は一足先に東京に帰るが何者かに襲われる。命はとりとめるが退院の直後、射殺される。
剣山でも若い女性が鼻を折られ顔面血だらけで殺される。
古代日本には伝説があり、和倉にはモーゼ、十二湖にはキリスト、剣山にはソロモンの財宝の言い伝えがあった。この伝説を追っていた社長の長谷川と秘書の辻ゆうこがあやしい。
さらに、殺された若い女性たちは皆「ヴィマナの館」という孤児院で育って、最近独り立ちのため巣立っていったばかりだった。
十津川警部も伝説になぞを残した殺人が次々に起きることに疑問を持つ。
最初から盛り上がりがあり、えっ何々って感じで一気に読めて面白い!
おすすめ度 ★★
宮崎 学 著 小学館 発行:2000年12月
著者は京都のやくざの組長の次男として生まれ、早稲田大学を中退。
グリコ・森永事件の「キツネ目の男」として疑われるが、事件そのものは2000年2月13日に時効が成立。いまだ犯人はわからない。
内容は、生まれた環境からやくざに関することの随筆集。
二人のやくざが恐喝事件で2人とも逮捕される。2人共同じ組ではないが、刑期が同じと知り、五分の兄弟と喜ぶ。
別の事件で十年の刑を終えて出所した男の話。逃亡して刑期を逃れた男は分け前の半分を出所した彼に手渡す。もらった方は、それをどうして保釈金に使わなかったのか、自分が逮捕されないのは、口を割らなかった彼のおかげと有り難がる。一方の彼は、一度約束したことは守るというやくざの姿勢。
出頭するという部下に新調のスーツを着させ、「襟をたてて出頭しろ」と。逮捕されるためだけにおしゃれをすることが男の美学というが・・・
やくざの中では美学でも一般人には、ボロは着てても心は錦っていきたいところでしょう。悪友との関係は長続きさせたくないと思うのだが・・・
おすすめ度 ★★★★
真保 裕一 著 新潮社 発行:2000年4月
ストロボをたかれたような気がした。周りを見たが誰もいなかった。
カメラマンとして若い助手の写真を見ていた。自分には作れない画面を見てそろそろ独立した方がいい・・・と、そのとき14年前に自分の恩師が自分に言ってくれた言葉を今自分が助手に話していると気づいた。
あの時、恩をあだで返すように辞めた・・・・
写真が送られてきた。愛人と一緒の写真である。ストロボを感じたときの写真。よく見ると絞りもタイミングもプロの仕業だった。
そんな折、恩師の黒部から写真と引き換えに1千万円の借金を申し込んできた。14年前の仕返しのつもりなのか。話しを聞くうちに、余命いくばくもない妻と今売り出しの駅前の写真屋を買い、のんびりしたい。定職のない者には銀行も貸してくれないという。
新しいスタジオを考えていた折、黒部へ1千万円を貸してやろうと思う。
おすすめ度 ★★★
ヒキタクニオ 著 新潮社 発行:2000年12月
「ネオ・トージョー」とはネオナチをもじって「日本人ならやっぱ、東条英機でしょう」と渋谷をたむろする19歳の3人の若者がつけた自分達のグループ名。 かつあげ、ケンカ、強姦を繰り返す。
政治結社の会長の青田からかわいがられ、車をもらったり青田の家に出入りする。
三郎という男は「消し屋」をしている。金融会社から消すように頼まれたターゲットを殺された形跡を残さず失踪したように殺して処分してしまう。今回は殺した女を車ごとスクラップにして1メートル四方の鉄の塊にしてしまう。
「文字屋」という男は、塀や壁に落書きした相手を尾行し、それを把握しておき落書きすると誰のものか見分け、別の男がゆすりにいく。成功報酬の5%をもらっていた。
そうこうするうち会長の青田が自殺する。ネオ・トージョーの若者達は・・・
悪が主役の小説。あまりに非道な手段に息を呑む思いがする。
おすすめ度 ★★★
川村 晃 著 成美堂出版 発行:1984年1月
今日のNHK「ふるさと皆様劇場」が岡山県の武蔵の村だったことから、この本を紹介する。
武蔵は1584年、岡山県英田郡大原町宮本に生まれる。幼名弁之介、父は宮本無二斎のち新免姓を名乗る。
1600年関が原の合戦に秀吉側に着き戦う。1612年佐々木小次郎と決闘。1619年三木之助を養子にする。1624年には伊織を養子に。
1645年有名な「五輪書」を完成。同じ年の5月19日永眠。熊本城の領地飽田郡弓削村の並木道に面して葬られた。62歳であった。
おすすめ度 ★★★
内館 牧子 著 世界文化社 発行:2000年12月
NHKの大河ドラマ「毛利元就」を書いた著者。13年のOL生活で結婚は、50歳でも60歳でも出きるけど仕事の基盤は30代でしかつくれない。
そして、40歳でテレビの脚本家としてデビューする。
結婚退社よりも、いい仕事を見つけて転職していく人をうらやましく思った。
女子高校生のセックス論。夫婦の義務としてのセックス論。言葉の乱れ。父の死んだ日。女と仕事論などの随筆集。
読んだ後は、ちょっと物足りない。感動する個所が少ない。しかし、考え方がスパッとしている点は気持ちよいが・・
おすすめ度 ★★★★★
帚木 蓬生 著 講談社 発行:2000年6月
夫が倒れた。午前中は夫のやっていた土管会社の社長代理を、午後は自分のやっている洋品店を、ひとり二役をこなす。
姪が短大を卒業し本格的に洋品店を手伝う。一方、土管会社の従業員20人が気持ちをひきしめて頑張ってくれたので業績は伸びている。
そんな折、商店街や顧客のすすめで市会議員に選出された。
知人から隣町の山間のくぼ地の写真を見せられる。高い塀に囲まれた中に古タイヤの山と産業廃棄物の山、黒煙をあげる。まわりの木々は伐採され、山肌をえぐられ悪臭を放っていた。自分の住む市にも降りかかる問題。アルカリや酸の廃液がそのまま谷の窪地に廃棄される。
市議として女性議員5人で「手の会」を発足させ立ち上がる。
ごみは、家庭ゴミだけではない。産業廃棄物という有害物の処理は・・・
おすすめ度 ★★★★★
阿井 渉介 著 徳間書店 発行:2000年7月
目を覚ますと黒い大きな船が闇から現れたような気がした。海面に白いボートの影。転覆させてしまったと思った。
あわてた漁師のシャチは海上保安庁と救急車を呼ぶ。が、遭難者が見つからない。それどころか、逆に疑われたしまう。
船に戻ると小柄な見知らぬ男の子がいた。おびえている。中国密航者と思ったシャチは警察に連絡するのをやめた。
翌日から黒い船に追われる。発砲はされるし、何だかわけがわからない。
男の子をピカと呼ぶ。ピカが追われているらしい。駿河湾から大井川源流の山中を逃げる。
ピカは北朝鮮の工作員だった。それも使い捨ての。捨て身で原発の爆破をすることが任務だった。
そして、女だった。逃亡中にシャチはピカを弟のように感じる。
ピカは自分の国を立て直すために狙われても国へ帰るという。あんな国だけどかけがえのない祖国なのだと。
おすすめ度 ★★★★
乙武 洋匡 著 講談社 発行:2000年5月
99年4月から2000年3月まで、TBS「ニュースの森」でレポーターを務めた様子を書いた。
3月福島弓子氏と交代のあと、乙武らしいレポートをする。
取材先は、用賀小学校・早稲田大学の入学式(広末入学で騒ぐ日)・交通機関のバリアフリー・文化財の多い京都へのバリアフリー・帯広3兄弟(三つ子の一人が脳性マヒでも3人一緒に市立小学校へ)そして、運動会の徒競走はメインキャスターを感涙させた。
沖縄の海でダイビングに挑戦。海底遺跡のレポートなど。前向きに一生懸命な様子がわかる。
おすすめ度 ★★
柳 在順 著 作品社 発行:1994年12月
世田谷区役所には8年間足を運んだが、一度も嫌な思いをしたことがなかった。むしろ親切過ぎるくらいだった。
高井戸に6年間住んだ、韓国の作家の見た日本観である。
入管の係官達の不遜な態度は改めなければならない。多くのトラブル例をあげて怒る。
礼儀正しい日本人(1年目) 相手のことを思いやる日本人(2年目) 清潔な日本人(3年目) 二重人格な日本人(4年目) 自分の国の人も信用しない日本人(5年目) 常識、常識と唱えて死んでいく日本人(6年目) ものすごく汚い日本人(7年目) 反省を知らない日本人(8年目) そしてかわいそうな日本人(今の心境)
これを書かれた頃、日本は従軍慰安婦で騒いでいたころである。
おすすめ度 ★★★★★
董 竹君 著 講談社 発行:2000年12月
(トン チューチュン)
貧しい車夫の家に生まれ、妓楼に売られ15歳のとき、元四川省副都督夏之時27歳と足抜けのような形で逃れ結婚、日本の御茶ノ水東京女子高等師範学校に学ぶ。
やがて、中国に帰り1男4女に恵まれるが20年の結婚生活に終止符を打つ。
李嵩高義士から2千元を借りて「錦江小食堂」を開店。これが当たって後には著名なホテル「錦江飯店」となり、中国ではじめての女性実業家と称される。
1997年97歳で北京で死去するまでの半生を書いている。
成功までにいろいろな中傷や家族の葛藤など、波瀾の人生であった。
おすすめ度 ★★★
村松 友視 著 河出書房新社 発行:2001年1月
歌手生活20周年で秋にブラジル公演を控えた年、下関の公演を終えた後、倒れ1979年7月に亡くなった水原弘の半生を書いた書。
「黒い花びら」は昭和34年に大ヒットした。印税の手続きをしていなかったので、思ったほどの収入は得られなかった。
昭和42年に「君こそわが命」が再び大ヒットする。このレコーディングに12時間を費やして、4分足らずの曲が完成した。
この時から黒いイメージからブルー(水色)に変えようと痩身した。が、人気は長く続かなかった。昭和49年には3億5千万円の借金があった。
ほとんどが自分がそう飲まないにもかかわらず請求される1日に何十万というバーやキャバレーの支払い。派手な交遊費であった。
「黒い花びら」のヒットがあと10年遅かったら・・・という友人。
それにしても、早い死(42歳)であった。
おすすめ度 ★★★★★
内田 康夫 著 光文社 発行:2000年8月
秋田杉を売り物にした「秋田美林センター」が破綻した。
欠陥住宅があちこちでとりだたされ、秋田県も追加融資をした百億を超える金も消えた。
そんな、秋田県へ副知事として望月世津子が中央から出向する。
私設秘書として、浅見光彦が同行する。
男が火だるまで死んだ。「やつらにやられた」と言い残して。しかし、自殺と処理された。また、川で死んだ秋田県調査部長。これも自殺とされた。
浅見は2つとも自殺ではない、影に大きな力を感じる。
おすすめ度 ★★★★
宮本 輝 著 文芸春秋 発行:2000年10月
母は二十歳前で父と結婚し翌年順哉が産まれた。家族は、新婚の夫婦と祖父母と父の妹で出もどりとの同居であった。
祖母が縁日で買ってきた大黒様に頭を打ち、祖父が死んだ。
1年後、乳飲み子の順哉をおいて母は家を出た。祖父の死に関係があるらしい。やがて、登紀子という母親がきた。
40年後、自分を育ててくれた母登紀子がぽっくり死んだ。
葬式の後、父は実母の話をしてくれた。祖父を階段から突き落としたのは母ではなかった。
睡蓮はベランダで鉢植えでも育つが、蓮は深い泥の汚い池で育つという。
おすすめ度 ★★★★★
高杉 良 著 角川書店 発行:2000年11月
日本中が騒いだ住専(住宅金融専門会社)の問題処理として住管機構が設立され、マスコミを味方につけたタコが、巨額債権を放棄させた上、母体行にも紹介責任を追及するという姿勢を打ち出した。
協立銀行の竹中がその特命班となり、奔走する。
やがて、申し立てできない案件があり、それについて賠償交渉を住管機構から提案される。そのほとんどが、カミソリ佐藤と鈴木会長の一派のやったこと。銀行内部は、二派分かれ腐った方にまだ権力があった。
竹中は住管機構と35億円で和解する。が、銀行人事も変わるが問題はまだまだ浄化されていない。再生は始まったが・・・
妻や竹中自身の浮気と銀行マンの野望と少し重い小説である。
おすすめ度 ★★★
小出 義雄 著 日本文芸社 発行:2000年10月
シドニーオリンピックマラソンで2時間23分14秒で金メダルに。
9月24日のこと。そして国民栄誉賞も。
シドニー入りは9月15日、32キロ地点とよく似た8キロコースを調整場所に走りこむ。訓練の毎日。だから、本番で32キロ地点にいくのが待ち遠しかったとか。
94年8月インターハイ(高校選手権)で初めて小出と会う。新入生歓迎会で身体にアルミホイルを巻きオバケのQ太郎を歌いながら踊ったことから「Qちゃん」と呼ばれる。
98年3月 名古屋国際女子マラソンで 2時間25分48秒。
2000年3月 名古屋国際女子マラソンで 2時間22分19秒。
姓名判断でも高橋尚子という名は勝負強い運を持っているらしい。
おすすめ度 ★★★
緒川 薫 著 角川書店 発行:2000年12月
孤児院にいたハルはその後竹富島で義母に育てられた。民宿をやっていたが、義母が死んだことで再び孤児院のあった東京に戻ろうと決心した。
友人の夏見の携帯電話を持った男に会う。樹下涼だった。涼はボクシングを止めた後はチンピラのようにフラフラしていた。事件を起こしては、孤児院で一緒だった愁一に助けを求めた。愁一は弁護士だった。
ハルは涼が気になる存在になっていた。ある日、涼の父とハルの父が戸籍上同じ名前であることがわかる。
やがて二人は兄妹として暮らし始めるが・・・・
ハルの父親は生きていた。
平成12年秋テレビドラマ化された。涼は竹之内豊、ハルは中谷美紀。
おすすめ度 ★★★
高嶋 哲夫 著 角川春樹事務所 発行:2000年10月
日曜日のコンビニで買い物をしていた母が発砲の流れ弾を受けて死んだ。それをみて妹が外に飛び出し、それを追った父と2人とも車にはねられ死んだ。
明日、高校入学式という日 家族とドライブに行く時だった。ユキは一人になった。
改姓会と竜神組の暴力団抗争の巻き添えと報道された。
が、翌日ユキの家に泥棒が入りコンピュータなど家中が荒らされていた。お葬式で家を空けていたときである。
やがて、ユキは声がでなくなり、心配した光一、徹、冬樹たちが家族を殺した相手を調べると言い出した。
ユキの父親の勤めていた神明銀行の疑惑が・・・・
おすすめ度 ★★★★
三宅 彰 著 角川書店 発行:2000年10月
上田市で家庭裁判所の判事だった佐藤が自宅を目前にして車にはねられ死んだ。
まもなく逮捕された池上は、7年前に栃木県の高校のプールで息子を溺死させられた。この事件を担当した佐藤に、日ごろから事実認定を明かにせよと迫っていた。佐藤はそれを拒絶していた。
やがて裁判がはじまり、息子が3人の同級生に手足の動きを拘束され、溺死したものとわかる。
息子が死に、妻は入院しているのに、事実を拒否する佐藤が、あの日「赤とんぼ」を口づさんでいた事に激昂し、車道にでて背中を押したことによる事件だった。
裁判の様子が詳しく書かれている。家庭裁判の非公開が被害者の親や関係者をかやの外に置いていることに注目している。
おすすめ度 ★★★
伊坂 幸太郎 著 新潮社 発行:2000年12月
逮捕されてパトカーの中から飛び出した伊藤は、目を覚ますと身に覚えのない部屋だった。
ここは、荻島といい数千人が住んでいるが150年間、外との交流がない。
ただ一人、轟と言うおっさんが船を持っているため、外から物を買うがその他はいっさい外界を遮断していた。島の者は一向に不自由をしている様子もない。
島には未来がわかり何でも知っているカカシの優午がいた。非科学的ではあるがカカシが口を利く。
カカシは、「まだ島にいたほうがいい」と言う。
不思議な世界の物語である。
おすすめ度 ★★★★★
戸梶 圭太 著 新潮社 発行:1999年11月
女装が趣味で下着を万引きした秋吉警部補と強奪した犯人が死んだことで犯人の所持していた現金100万円を着服した白州警部補。
二人の警部補が罪と引き換えに命ぜられたのが、公安のエリート警部の内偵。
そいつは自分たちよりもっと悪だった。
その頃、「溺れる魚」という犯人から金は要求しないが、大手DPEチェーン店をターゲットに写真の現像液に漂白剤が混入し、写真がうまく現像されない被害があちこちの店で続出する。すべての液を取り替えなければならない。
犯人はどうやって漂白剤を混入させたか。
犯人の要求は管理職に妙な格好をさせ公道を歩かせるというもの。
そして犯人の中に・・・
おすすめ度 ★★★
小川 竜生 著 角川春樹事務所 発行:2000年12月
1999年冬、日系ブラジル人二世の譲二は5年間に渡る日本での生活に終止符をうち、故国サンパウロへ帰っていった。
譲二は、上野に行けば川北というブラジル人専門の手配師がいて仕事を世話をしてくれると聞いていたので、上野公園で夜中まで探す。
「俺が川北だと」健太というチンピラに連れられ、工務店で世話になる。
この健太がくせもので、譲二の給料をピンはねしたり、むりやり連れ出しては女遊びや飲み代を譲二に支払わせていた。
最後の年には、すでに工務店はやめていた。譲二はシャブを打たれ体を壊していた。
工務店で一緒だった同僚がその様子を社長に話した。社長は健太の身内でもあったことから、譲二に詫びた上で帰国するようすすめる。
おすすめ度 ★★★
木谷 恭介 著 角川春樹事務所 発行:2000年12月
沢口佳子の夫は、この夏乗っていた車が能登半島の猿山岬の近くの崖から転落死した。この夫に実は50億の保険が掛けてあった。受取人はすでに人手に渡ったが夫が社長をしていた会社である。
そのことを、石川県警の住之江紗代に相談した。夫は保険金目当てで殺されたのか。
再捜査を主張する紗代は上司とぶつかるが、捜査していくうちに、中小企業共栄事業団と政治献金疑惑が浮かび上がって・・・闇の巨大な力が・・
おすすめ度 ★★★★
篠田 節子 著 朝日新聞社 発行:2000年12月
年収200万円のライターの手伝いをする真一は、東邦信託銀行国際営業開発プロジェクトマネージャー の大林梨香子とインタビューで知り合う。
2度目のデートで真一のアパートで結ばれ、知り合って4ヶ月で結婚する。
彼女のほうが背が高くスタイルもよく美人。しかも高収入。彼女との結婚は周囲の人を驚かした。
しかし、結婚生活をしてみると家事が満足にできない。真一が1週間出張で家を空けたところ、行く前に入れた紅茶がポットに入ったままカビていたり、洗わない食器が・・・。
そんな愚痴を友人に話したところ、離婚を勧められる。自分も決心して我が家に帰ってみると「妊娠した」と告げられる。
そんなわけで、どういうわけか別れもせず一緒に暮らす。
カビができるほど放っておく人はそうそういない。やっぱり別れるべきだよと思いながら男の優しさというか、意気地なしというか笑ってしまった。
手抜き奥さんとしては少し耳の痛い部分もあったけど・・・
おすすめ度 ★★★
川田 弥一郎 著 講談社 発行:2000年11月
神田の旅篭で男が死んだ。一緒に泊まっていた娘は30も年下。男が突然襲ってきて抵抗しているうちに死んだ。
検屍官の彦太郎は外傷がないことで、医者の玄海に相談。改めて検死する。
男は脳卒中と判断される。娘は姉を探して常陸から江戸まできていた。
姉が見つかるまで玄海の家の女中として働くことに・・・・
江戸時代の検屍官が死体のすみずみまで調べる様子がわかる。医者、産婆と臭いかぎまで、死体をよく見えるように外に出しても調べた。
おすすめ度 ★★★★★
鳴海 章 著 集英社 発行:2000年12月
犯人はどこにでもいて、どこにもいない存在として扱われることになれていた。
鬼灯(ほおずき)という犯人は、アユミという女児の死体を巨大な肉きり包丁で切った。右手だけを別にし、引越し用のダンボールにいれ、造成地に埋めた。6ヶ月後、白骨化してから犬が引っ張り出した。
5ヶ月前にも農業用灌漑池でゴミ袋に詰められた女児の死体が上がった。これも右手がなかった。
記者の上坂は未帰宅児童が他にいないか調べ始める。そして、ナツミもアヤカも・・・。
犯人を中心にした物語で、犯人の異常な心理がわかる。宮崎勤を思わせる。
おすすめ度 ★★★
恩田 陸 著 新潮社 発行:2000年12月
失意のうちにロンドンの街を歩いていたエドワードの耳に自分を呼ぶ声が聞こえた。振り返ると12歳の女の子だった。エリザベスという。
「会えてよかった!」といわれても、知らない子である。「今は12歳だけど私45年後、あなたとロンドンで出会う」という。エドワードは20歳だった。
エリザベスはヒトラーのこともこれからのイギリスの未来も口にする。
しかし、エリザベスはそのすぐ後、車にはねられ、苦しい息の中でハンカチをエドワードに託す。
「From E to E with love」と書かれたハンカチ。
そして、45年後・・・
おすすめ度 ★★★★★
内田 康夫 著 講談社 発行:2000年11月
「土嚢」を積み上げる仕事をしていた男が突然倒れた。「不知火が見える」と最期につぶやいた。
代官山のアパートに越した坂本は、昼も暗幕を引きひっそりと暮らす隣人のことを女友達に話す。遊びにきたとき、女は隣人の米村に会い興味を持つ。
ある時、めったに来ない客人が隣に来た。刑事のようでもある。そのことを米村に告げると頭骸骨の入った箱を坂本に預け行方不明になる。
浅見光彦に相談し、女も同じころ仕事をやめたことから九州に飛ぶ。
男はなぜ逃げたのか。頭蓋骨はだれ? なぜここに・・と。面白い!
おすすめ度 ★★★★
関 裕二 著 青春出版社 発行:2000年12月
昭和8年大分県日田市日高町で久大本線建設中に錆だらけの鉄の塊が出土した。
土地の所有者が(現在96歳)が小学校へ寄贈した。その後京都大学考古学教授が奈良の古美術商から手に入れる。
昭和37年天理大学で研ぎ出してみると、後漢鏡「金銀錯嵌珠龍文鉄鏡」であった。論文に発表したことで文化庁に買い取られ再び眠りにつく。
この鏡は卑弥呼の鏡かもしれない。皇太子か皇后クラスの人しか持てないとされた鏡である。
論文発表当時は、やまとは近畿説で固まっていたため全く評価されなかった。
やがて九州にも大きな遺跡が発見され、日本で卑弥呼がいた2世紀から3世紀の間の墳墓からも青銅製の鏡がでてくる。しかし「金銀錯嵌珠龍文鉄鏡」ほど高貴なものはでていない。
写真付で、またまた邪馬台国論争の始まりかなと思う興味深い1冊である。
おすすめ度 ★★★★
石川 英輔 著 講談社 発行:2000年11月
寺子屋の教科書なるものに「山高故不貴 以有樹為貴」(山高きゆえに貴からず、樹あるをもって貴しとなす)木がない山はどんなに高くても価値が低い。
「人肥故不貴 以有智為貴」(人肥えたるゆえに貴からず智あるをもって貴しとなす)智のない人はいくら大きくとも価値がない。
江戸時代は東京23区の6分の1たらずしか江戸墨引内の面積はなく、120万人が太陽エネルギー(お天道様)と人工的な雑木林の木を薪炭にして暮らしていた。
現代社会とりわけこの50年間は人類の永遠の努力目標を手に入れてしまった。しかし、人間は物質的な豊かさで暇になるほど精神的に向上する立派な動物ではない事が分かった。
高層マンションの上層階の人など停電だけで極楽から地獄へはや変わり。
1856年ごろの日本は、「非常に高貴な人々の館ですら、簡素で単純きわまるものであった。」(オランダ人) 「彼らは皆よく肥え、身なりもよく一見して富者も貧者もない。まだ、汚い貧乏人を見たことがない。」(ハリス) というように、部屋の中に物がなく、人々はそれでも洗濯のしてあるこぎれいな格好をしていた。
江戸の暮らしと現代の対比が面白い。
おすすめ度 ★★★★
塙 ちと 文・小林 庸浩 写真 小学館 発行:2001年1月
白神山地のブナ原生林。8000年も世代交代を続けながら残った。
30センチの腐葉土になるには何十年とかかる。ブナには酸性雨を中和する力がある。
縄文杉は樹高が25.3メートル、幹の周囲は大人が12人が手をつないだ16.4メートル。屋久島は花崗岩でほとんど表土がない。杉は岩の隙間に根を回し年輪が緻密につまって樹脂分が木を腐りにくくし膨大な歳月を腐らずに生き延び巨木にする。
杉を見るにはトロッコ廃線を10キロ、さらに2.5キロ合計6時間も歩かなければならない。
このほかに日光、白川郷、姫路城、厳島神社、法隆寺などの写真と説明文。
おすすめ度 ★★★★
今野 敏 著 幻冬社 発行:2000年10月
英次は家の中での様子がおかしいのに気がついた。オヤジのお気に入りの大学生の兄が怒鳴られている。父は警部補だった。
どうやら、兄の柔道の先輩の銀行員に父の捜査上の秘密を漏らしたらしい。そいつは、さらに親父の口座に50万振り込んできたらしいのだ。こんな事がバレるとどうなるかは想像がつく。
英次はその銀行員をやってしまおうとマンションで待ち伏せする。が、何者かに殺された。
父は英次を疑う。自分の息子と心中するつもりで銃を向ける。落ちこぼれの茶髪息子。目撃情報から息子に違いないと・・・
最後まで読み終えるとやっぱり、親子だなあと思ってしまう。
おすすめ度 ★★★
斎藤 栄 著 祥伝社 発行:2000年11月
台湾行きのツアー10人を連れ、梨香はベル旅行社の社員として同行する。
その夜、大地震に見舞われる。幸い1人を残してツアー客は無事だった。苦労して東京に戻る。
梨香の姉の香奈は、警視正の夫小早川雅彦がいる。新地銀行の隠し財産が沖縄に近い久米島に運ばれたという情報を追っていた。
やがて、事件から手を引けという電話が、小早川警視正に入るが無視する。妻の香奈が連れ去れる。
妹の梨香も捜査に協力して・・・
今一つ、どきどき感がない。美しい姉妹だけが目立つ。事件の裏づけがいまいちだった。
おすすめ度 ★★
水上 勉 著 河出書房新社 発行:2000年12月
80歳の時、網膜剥離。81歳で避寒のためにハワイへ行くが、脳梗塞の微候と思われるため2ヶ月で帰国。
松本市近くの鹿教湯温泉病院でリハビリ生活に入る。
ここで見た老人を見て、制度によって過保護にされた老人たちが葬列に加わっている。リハビリを「そんな事はできない」という軽蔑したような視線を見せる老人のこと。
逆に、ほとんど効果も上がらないのに十年辛抱強く訓練を続ける小児麻痺の女性に人間のオリジナリティに触れた思いがしたこと。
全部で5部の構成で鹿教湯温泉のこと、子規のこと、小林秀雄との思い出などの随筆集。
おすすめ度 ★★★★★
小杉 健治 著 講談社 発行:2000年3月
★を6つ付けたいぐらいの面白さです。曲げ物の人情もの。
お里は14歳で15年の年季で飯盛り旅館に売られたが身体をうる商売。幼馴染の正助を待っていたが、1年たっても迎えに来なかった。
一方、お里を見て自分が惚れたお園に似ていたので、一夜を共にした半次郎。
半次郎にも苦労した過去があった。二人は新たな出発を誓って別れる。
江戸に着いた半次郎に押しこみのぬれぎぬが・・・。自分はやっていない。証明できるのはその時刻に会っていたお里だけ。
半次郎は逃げる。お里に証言してもらおうと舞い戻ってみるとお里は身請けされたあと。
時がたって、お里を見つけるが祝言を控えていた。
自分の身の潔白を証明しようとすれば、過去が・・・。
半次郎は、お里の幸せを願い、あえて貼り付け獄門の刑の道を選ぶ。
一夜を共にしただけの人にあなたは命を捧げますか。私は真似できません。が、話しなら泣けてくるよね。いい話です。超おすすめです。
おすすめ度 ★★★★★
野沢 尚 著 講談社 発行:2000年12月
小学6年の修学旅行先から深夜にタクシーで先生と世田谷に戻った奏子は、病院で布に覆われた4つの遺体と対面するが頭のあたりが異様にへこんでいた。
遺体は頭を叩き割らていた。両親と弟2人の一家4人である。
犯人は遺体のそばでへたり込んでいたところを逮捕された。奏子と同じ位の子を持つ男だった。
男は奏子の父に騙され、妻の死後支払われた保険金のうち5千万円を騙し取られたことへの恨みからの犯行だった。
奏子が成人し、事件のことを調べ始めた。犯人は死刑の判決を受けていたが、この犯人の娘に会う決心をする。そして、知りたい事があった。
おすすめ度 ★★★★★
門野 晴子 ・ 門野 智子 著 講談社 発行:2000年10月
「寝たきり婆あ猛語録」の著者とその娘の書簡集。娘との生活を振り返りながら・・・。
娘は介護の勉強を終えた後、アメリカに留学。アメリカ人と結婚しカルフォルニアに住んでいる。6か月の男児(バンビ)がいる。
一方、母は東京住まい。1年半の往復書簡の中から子育ての知恵と子を思う強い母の姿が・・・。
例えば「女は男の2倍も3倍も頑張らないと対等になれない。そういう不公平な世の中なんだから」「女らしくするな!キリッとしなさい!」と育てる。
時には、娘の学校へ怒鳴り込む。「娘の髪を力づくで切らせようとするのはレイプと同じ」(娘が髪を5センチではなく5ミリ切れといわれた事による。5ミリの根拠はなんだ!と勢い込んで学校へ出向く母)
1通ごとに痛快さがある。また、文中からカリフォルニアで、夜11時になると日本のNHKニュースが流れることや木村拓哉と常盤貴子の「ビューテフル・ライフ」が西海岸で放映されている事などを知る事が出来た。
くよくよしない子育て法を参考にされてはいかがでしょう!
おすすめ度 ★★★
岳 真也 著 東京書籍株式会社 発行:2000年12月
アンチヒーロー達の言い分をまとめた古代から中世までの日本史。
例えば、吉良上野介は領内の民はもちろん、末端の部下までもやさしく接していた。上野介自身も炭小屋に逃げ込んで命乞いをする人間ではなく、幕府の調書によると「赤穂との乱戦のさなかに倒れ息絶えた」とある。
一方、浅野はしばしば胸や腹部に激痛をもたらす病で、癇癪を起こしやすく短期で怒りっぽい性格であった。早くに父を亡くし、頼みの大石頼母亡き後はおかしな言動が目立っていた。
歴史を歪めてきたのは、勝利し権力を握った人達や喝采をおくった民たちである。
北条政子、明智光秀、田沼意次、井伊直弼、由比正雪、淀殿など15人。
事実はともあれ、こういう見方もあるのかという面白さが在る。
おすすめ度 ★★★★
大沢 在昌 著 文芸春秋 発行:2000年11月
薬物依存者の更正施設「セイル・オフ」でカウンセラーのような仕事を手伝っている佐久間は、本業は失踪調査をする探偵だった。
施設に入所した雅宗という16歳の少年が、以前付き合っていた女性との関係で調査する。
女性は雅宗と同じぐらいであるが、雅宗を「犬」といい、仲間は女性を「飼い主様」という。しかし、この女性が雅宗を更正施設への入所をすすめた。が、くすりを抜いてまたもう一度いたぶるつもりらしい。
同じころ、「ホワイト・ボーイ」という人気漫画を書いていた「まのままる」という男の調査を頼まれる。十代でデビューした彼は、今は38歳になっているはず。11年間ずっと人気ナンバーワンだった彼は、多額の収入があったはずだ。今はどこにいるか分からない。
いろいろな危ない目にあうが、「飼い主様」と「漫画家」がつながってくる。
おすすめ度 ★★★★
宇江佐 真理(うえざ まり)著 新潮社 発行:2000年12月
25歳になる代書屋をしている五郎太には縁談がさっぱりない。
小さいころ近くに住んでいたお屋敷の紀乃は19歳になっていた。偶然、代書の届け先が紀乃だったので、五郎太は直接届に行く。紀乃は宗像との縁談が決まっていた。
ある日、旗本の男3人にからまれた折、宗像は紀乃を置き去りにして逃げた。
偶然通りかかった五郎太が助ける。このことがきっかけで、紀乃の縁談は壊れる。が、五郎太との祝言の約束をしてしまう。
五郎太には、御番入りの学問吟味があり、これを果たさなければ祝言に賛成してもらえない。紀乃の父が反対の理由としていた。
久しぶりのまげもの。言葉の言いまわしの一つにも面白みがある。
おすすめ度 ★★★★
大江 健三郎 著 講談社 発行:2000年12月
千樫(ちかし)の兄の吾良(ごろう)が50代で自殺した。ビルの屋上から墜落死した。
古義人(こぎと)の妻(千樫)は吾良の妹だった。吾良は「おれは向こう側へ移行するよ」と言っていた。
以前にヤクザの襲撃を受けた吾良が入院する様子をテレビで映し出されたことがあった。その後、彼はヤクザの民事暴力を主題にした映画を作った。
妻の梅子が通夜の後、彼のビデオを見たいと朝までみていた。
ほとんど17歳のときからの友である吾良との回想である。
伊丹十三監督を思い出しながら読んだ。速読できない文章である。ゆったりとした時に読んで欲しい。
おすすめ度 ★★★
森村 誠一 著 光文社 発行:2000年11月
妻が死んで行きたがっていたプロヴァンスのツアーに一人で参加した。
ツアーの中に三十代半ばのカップルがいた。夫婦ではないらしい。気になった。
法王庁宮殿に帽子を忘れた事に気がついたが、取りに帰る気力もなく諦めた。
帰国してからツアーで一緒だった男性が殺される。あのカップルの一人だった。
そして、3週間後オープンカーにのった女性があのカップルの片割れで、別の男性と一緒だった。その男性の頭にはなんとあの無くしたと思われた帽子が・・・
おすすめ度 ★★★
芹沢 俊介 著 新潮社 発行:2000年11月
家族のエロス(家族の受けとめる力)が危機に瀕しているという。
神戸の子ども連続殺傷事件の少年Aの両親にも、このエロスが欠けていた。
甘やかさなければいけない時期に、甘やかすことが出来なかった。手記をみても、ありのままの我が子の姿を受け止め、引きうけようとする母性が感じられない。少年Aの母親は、まず息子に対して詫びるべきだと。
このほか、現在の家族形態の変化、教導する父親のもたらす弊害、支配する母親、引きこもり、幼児虐待などをとりあげている。
自分を尊重する生き方が望まれると結んでいる。
いきなり、酒鬼薔薇少年のことだったので、手記や「淳」という少年の父の手記も読んだだけに引きつけられたが、母親の手記は書かされたという気がして内容は信じがたい上に、このように文を取り上げて分析しても信憑性はいま一つではないかと感じられた。
おすすめ度 ★★★
浅田 彰・ 田中 康夫 著 小学館 発行:2001.1月
長野県知事になった田中康夫氏と京都大学助教授の浅田彰氏の対談集。
1999年3月から2000年10月まで、ある月刊誌に連載された再録。
長野県知事の選挙戦では、手袋をしない、車の上からしゃべらない、たすきをかけない、万歳をしないという信念を貫いた。
当時のテレビ局の対応やニュースのされ方についての反論から、さかのぼって都知事選、森総理の失言、アメリカ大統領選など大きな問題から、サッチー騒動、広末の入学問題まで小さいこともある。
神戸では神戸空港建設反対運動をしたこと。関西空港の埋め立ての為に削り取った跡地の淡路花博。辛口な対談が続く。
どうでもいいことだけど、文中に西田ひかるが亜細亜大学とある(125頁)が、上智大学である。石田ひかりと間違えた? きっとファンは怒っているよ。あまりいい引用のされ方ではなかったから。
のうがきより、やってみせてみて! 混ぜ返すだけなら誰でも出来る。
おすすめ度 ★★★★★
内海 隆一郎 著 河出書房新社 発行:2000年4月
剛は母から「川島工務店に行くよう」に言われ、しぶしぶ訪ねた。棟梁の不在を知ると家人のすすめも断って外で寝転がっていた。
虚弱児のような子が声をかけてくる。小学三年の光男である。光男の母と祖母がこの工務店の賄いをしていた。この光男が剛のささえになる。
やがて、棟梁と剛の根競べがはじまる。棟梁は弟子になる気になるまで待つ。剛は意地でも大工になんかならないという意地。
剛の父もこの工務店で腕のいい職人だった。同じ部屋の小池の鉋屑のコレクションや、大工道具の手入れや仕事場での達成感を語る姿や時々頼まれる手伝いで、宮大工の仕事への興味を持つようになる。
ようやく、剛も弟子になりたいと決心する。
とても素直な文章で分かりやすい。つっぱりの剛が仕事に興味を抱かせるまでの変化が徐々に伝わってくる。あたたかい人達の集団で剛も救われる。
おすすめ度 ★★★
河野 多恵子 著 新潮社 発行:2000年10月
三村清太郎と麻子は、大学が同じ方向で国立大と女子大で映画がきっかけで知り合う。また、同じ会社に内定する。
卒業まで後1か月というとき、三村の前で麻子は車にはねられ大怪我をする。就職の内定も辞退し、三村と結婚する。
総合商社に入った三村はシドニー・ロンドン・ニューヨークと転勤する。孫にも恵まれる。
57歳の麻子が劇症肝炎で入院する。
三村は、自分が死ぬまでに妻に言いたかった。「侠気や責任感で一緒になったのではない。麻子と結婚したくて結婚した」と。まだ、麻子にそれが言えないでいる。
おすすめ度 ★★★★★
新野 剛志 講談社 発行:2000年8月
私は本間を訪ねた。31歳の本間はコンピュータに向かっていた。本間と私の付き合いは彼の少年時代の家庭教師をして以来である。
その本間が殺された。彼は少年時代に両親が蒸発し親戚の家に預けられ、親戚の子に報復をしたあと飛び出しヤクザになっていた。
私の学校の生徒 三橋陽子が家出する。このことを本間にも話したことがあった。本間はホームページでブルセラ狩りをしていた。売りに来る子の写真を公開したり、情報を流し、こういうことをすると写真が公開されることを分からせたつもりでいた。
ホームページはその意図とは別の方向で悪用されていた。
おすすめ度 ★★★★
歌川 豊國 著 PHP研究所 発行:2000年2月
平成11年4月近畿大学法学部の二部に合格。「社会人入学制度」が設けられて2年目。サークルにも入部する。なんと「梅之家将軍」という名で落語研究会で講座にも立つ。
なぜ今更入学かと問われると「私が学歴と勉学の必要性を感じたから」
しかし、実は93歳で大阪市内の定時制高校に入学し、3年間高校生として通学していた。
同じ頃、妻の痴呆がすすみ病院に入院させたものの辱そうが広がり、いたたまれず退院させ自分で見ることにした。
やがて痴呆は好転し、好き嫌いをはっきり表示するようになった。夫が誰かわかるまでに回復した。
やりたいことはまだまだあり、大学院にもすすむつもりでもあった。
生き方に敬服しました。本には書かれていないが、今年この人亡くなってしまった。
おすすめ度 ★★★★
小杉 健治 著 勁文社 発行:2000年11月
ゆう子の土地家屋調査士事務所に、牧橋という老人が調査を依頼してきた。
生前に子ども達に贈与しておきたい。税金がかかるが早急にやりたいとのことであった。
測量調査をはじめると境界の標識がない。抜かれた可能性もある。
隣人との雰囲気も険悪なようだ。
心配したことが的中し、牧橋は隣に住む江木を包丁で刺し殺してしまう。
しかし、江木は愛人を作り留守がちであったが、境界を抜いたことを疑われ牧橋との対立が激しくなっていた。
単なる境界のいざこざだけでなく、やがて死んだ江木の愛人の死体も見つかり・・
ひきこもりの問題を抱える青年も登場し、なかなか面白い。
おすすめ度 ★★★★★
柳 美里 著 新潮社 発行:1998年11月
14歳の少年の母親は5年も前から別居している。兄はウイリアムズ病、長女の美歩は学校をさぼって援助交際を重ねていた。父はパチンコ屋をやり4店舗の売上は年間200億円。少年と少女の学校の理事長を務めていた。
少年は学校も行かずぶらぶらしている。地下金庫開けたことで口論になり、父親の後頭部を花瓶で打ち、さらに刀で切り裂いて殺してしまう。
地下に放置して2週間・・・やがてみつかり・・・
すざまじいドラマである。酒鬼薔薇がさわがれたあとの作品。ことしは17歳の犯罪が多かった年。
おすすめ度 ★★★★★
林 真理子 著 講談社 発行:2000年11月
原岡は後輩の結婚式で別れた前妻の姪にあたる美佳子と会った。
別れた妻とは9年間の生活で子どもが1人。慰謝料の変わりに住んでいた家を譲った。
3年前、典子と結婚した。妻と子を捨て若い美しい女と再婚した男には、家庭や夫婦の不満を他人が受け入れない「そら見たことか」ということが目に浮かぶ。しかし、最近典子の外出が多くなっていた。
原岡は派遣社員の女性や姪の美佳子とも付き合うようになっていた。
典子は「私の為に妻子を捨てたのだから、1度や2度の浮気は我慢しなくてはいけない」
やがて典子は妊娠する。「あの人は一生好きな人をさがす旅をする」
おすすめ度 ★★★★
桐野 夏生 著 講談社 発行:2000年6月
「ローズガーデン」では、ミロが高校のとき、母が死んだ後養父と寝たと同級生の博夫に打ち明けた。大学4年でミロは結婚する。
「漂う魂」では、4階の女が自殺した。同居マンション住人は幽霊が出ると噂するが犯人は自殺した女と仲のよかった・・・。オカマ達に嫌がらせをしていた。
「独りにしないで」ホステスの犬が再びペットショップで売られているような気がする。宮下と言う男が殺される。真相を確めようと・・・
短編集です。期待が大きかったのでちょっと肩透かしの感じです。
おすすめ度 ★★★
恩田 隆 著 幻冬舎 発行:2000年3月
箭納倉(やのくら)という田舎で1年間に3人の女性が行方不明になった。ところが3人ともいなくなった時と同じようにある時ひょこりと帰ったきた。自分が失踪している間の記憶はない。
それからすこしずつ奇妙な事が起きる。不思議な物体のすがたが・・・
やがてTVもラジオも入らない。市内の人々が忽然と消えてしまった。4人を残して・・・誰もいないのだ。
おすすめ度 ★★★★★
樋口 京輔 著 角川書店 発行:1999年9月
谷川トンネル出口あと3キロのところで、核燃料を積んだトラックが事故を起こす。ほどなくテロと判明する。新潟県警高連隊の河井が輸送していた。
片足の龍と名乗る者から東京テレビに核燃料輸送のたれ込みがあった。
しかし、他局は動かなかった。やがて光の旅団が犯行声明をだす。
父親を原発で片足を失って幼な心に深い傷が残っていた。核燃料をダムに車ごと落とすことを企んでいた。
ホワイトアウトを思わせる迫力がある。面白い!
おすすめ度 ★★★★
北原 亞以子 著 新潮社 発行:2000年10月
四方吉は三年前から富山の薬売りとして江戸近くまで来ていた。客が増え父を喜ばそうと帰り道を急いだ。
碓氷峠で深い霧になった。「金を出せ」と脅され、とっさに男に飛び掛ったが自分も谷底へ落ちかけた。這い上がったとき男の姿はなかった。
宗七の妻おつぎは春になっても戻らない亭主を探しに江戸にきた。ふらふらになったところをおいとに助けられる。
四方吉は人を殺したと思い、宿屋で耳にした宗七という男の名を語って国にも帰らず江戸でおいとと暮していた。おつぎに見つかってはと・・・。
しかし宗七は生きていた。しかも突き落とした男だった。
少し話がややこしいがおもしろい。
おすすめ度 ★★★★
童門 冬二 著 読売新聞社 発行:1995年10月
宮本三蔵は夢の中で武蔵が現れる。次第にいつも自分のそばにいて困った時に助けてくれるようになった。武蔵の影のアドバイスで剣も勝つことが多くなった。三蔵は、近藤勇、土方歳三、沖田総司達とも会う。武蔵の声がいろいろ教えてくれる。やがてメリケンのペリーが来ると告げる。吉田松陰、山岡鉄舟、高杉晋作達とも会い、最後は三蔵は多摩の農民と暮す道を選ぶ。
武蔵が江戸初期。幕末の・・・???って具合に思わず読んだ。幕末の剣豪が文人がいろいろでてきてなかなか飽きない。
おすすめ度 ★★★★★
大沢 在昌 著 毎日新聞社 発行:2000年8月
窃盗車を海外輸出目的とした組織犯が激増していた。盗まれた車は東南アジアやロシアに売られていく。
Nシステムと呼ばれる道路を走る車を監視カメラでチェックする機能をうまくくぐりぬけている。そのことから車のナンバーや色を変える「場所」が新宿にあると睨んだ鮫島は、十二社池のあった近辺を探る。
駐車場と向かい側の古家にねらいを絞り、捜査するうち古井戸から白蝋化した死体を見つける。死体は彫り物があり二、三十年以上はたっていた。
久々の新宿鮫!おもしろい! 少しページがあるがすぐ読める。
おすすめ度 ★★★★
飯島 愛 著 小学館 発行:2000年11月
小学生の頃「あなたのためだから」が口癖の母と物差しを振り上げる父に反抗し、中学2年の頃から家出を繰り返す。
17歳で銀座のホステスに。4時間の勤務で4万円。19歳ではアダルトビデオに出演。3か月で1000万円の契約をする。この契約の後、テレビ東京でレギュラー番組に。
25歳で「羞恥心」に拒まれた自分を知る。
テレビの人生相談などに真剣にコメントする姿は愛らしいが、赤裸々に書かれたこの書に自戒の念を感じる。家出と補導を繰り返していた頃の母の日記もつらい両親の苦悩がある。
おすすめ度 ★★★
柳 美里 著 新潮社 発行:2000年10月
1992年4月(23歳のとき)から2000年5月(32歳で東氏を見送った直後)までのエッセイ集。
「フルハウス」を最初に出版したこと。「家族シネマ」で芥川賞を受賞したときのこと。「タイル」では後半の失速が批判されたこと。「ゴールドラッシュ」は伊豆の初島で9ヶ月間1日3、4時間の睡眠で書いたこと。
家族や柳の小学校の時の様子などが書かれている。
彼女の文は強いイメージを抱かせる。いじめに会ったり自殺をしたいと思うなど心の傷も抱えていたことがわかる。
おすすめ度 ★★★★★
夏樹 静子 著 中央公論社 発行:1999年3月
茉莉子が天袋の奥から「ベランダに立つ少女と舞妓」の写真を見つけた。
自分ではないかと疑う。母の照代は自分のことを帝王切開で産んだという。
体外受精で絹子と壷内の間に茉莉子という女の子を産む。絹子はまもなく死に、壷内は茉莉子を照代に預けたが4歳のときに死んだ。
その後おなじ方法で体外受精でできたのが自分だとわかる。壷内はすでになく自分がコピーだと悩むが、人は生かされていると考えるようになる。
おすすめ度 ★★★★★
宗田 理 著 角川春樹事務所 発行:1999年8月
巨額の脱税容疑で逮捕され、4年の刑期を終え出所した慶良間社長。
電気料が3割から4割は節電できるという装置を開発し事業を拡張した。ところが電力会社や銀行から圧力がかかる。融資をストップされ事業拡張ができない。注文は増える一方だった。
そんな折、株による仕手集団をつくり資金の獲得が可能になった。
所得隠しに一口1円五百万円のパワーシステムで実際は五百億円分の株を預ける。
有名人や政治家とも接触する。やがて代議士の贈収賄事件が発覚し、社長も逮捕される。出所後、この金が消えていた。
あっけないような幕切れだが、なかなか面白い。
おすすめ度 ★★★
大仁田 厚 著 TIS 発行:2000年5月
41歳にして駿台学園高校定時制3年に編集。平成12年3月に卒業。
26年ぶりに試験勉強をしたというプロレスラーの大仁田厚の実録。
級友の太一(バスケットの好きな子)沖村(ノートをみせてくれた子)奥村(自宅で勉強をした子)とのエピソート。夏休にザリガニを取りに行くが全く取れなかったこと。
卒業考査では2番になった。よく出来る沖村は4番だった。
学ぶと言うことが大人になってからも意欲があればできるんだという書。無理していかなくてもやりたい時がその時期なのだと思わせる。
おすすめ度 ★★★★★
高任 和夫 著 講談社 発行:2000年10月
伍代デパートの総務部長倉橋は、47歳の今まで実直に生きてきた。
朝早く刑事がやってきた。総会屋とのつながりで取り調べられた。三週間続いた取調べがいったん中断し、安堵したのも束の間。今度は「利益供与」で逮捕される。
会社を守るために常識の範囲内と思った額でのことである。しかし、派手に報道される。会社側は倉橋と部下の責任でやったことと情報を流す。
三週間で保釈される。やがて疑惑が晴れぬうちに妻が死ぬ。
妻の妹の協力で報復を・・・
犠牲の名のもとに平凡な暮しを破られる。実際にあっては大変である。小説だから面白いが。
おすすめ度 ★★★★
森村 誠一 著 実業之日本社 発行:1999年3月
帯広哲夫は57歳で退職しようと思っていた。後1年である。刑事だった。
最近行き始めた喫茶店に犬を連れた美人がくるようになる。
やがて彼女は自殺に見せかけて殺される。彼女は妊娠していた。
腹の子の父親がなかなかわからない。1枚のタクシーのレシートからそれが誰であるか突き止める。やがて・・・
なんだかすらすらと読める。肩のこらないでちょっと息抜きによいかも。
おすすめ度 ★★★★★
折原 一 著 講談社 発行:2000年10月
作家山本安雄は「島を救ってほしい」と清水真弓に連れ出され、新潟から三日おきに出ている船で「首吊島」へ行く。
海上に突き出るようにある「浮身堂」で祈祷が行われている最中に行者が死ぬ。この堂は網元の新見家のもので昔も死者が出た。
島に着いたらこの家の旦那が1週間前に死に、警察での調べののち葬式となった。そして、何日も経たないうちに長女の雪代が首に破魔矢が刺さって殺された。三女の花代もまた・・・
この小説は半分が「首吊島」、半分が「監禁者」の題で180度に裏表している。内容だけを最初からぱらぱらとめくると、半分より後が逆さ字になっていてどきっとさせられる。どちらから読んでもつじつまはあう。
おすすめ度 ★★★★
桐野 夏生 著 文芸春秋 発行:2000年9月
玉置優子はプロデューサーとして目立ちたいと6千万円で映画の制作を試みる。主演はヤクザ映画の脇役にでていた高見貴史。相手役はヘアヌードで売った井上佐和である。
やがて、高見が役を降りると言い出す。相手役とうまくいかない。
優子には68歳の夫がいるが脳梗塞で倒れ、優子の72歳の母が看ている。夫は回らない口で前妻の名を呼んでいる。
一方、高見は父と愛人の間に生まれた異母妹のエリのことが忘れられない。
おすすめ度 ★★★
池宮 彰一郎 著 毎日新聞社 発行:2000年5月
信長は光秀の報告を聞きながら「この男の分析能力は凄い」と思うが、知り得た機密をあけすけにしてしまう率直さに危うさも感じる。
やがて京都制圧後、信長は領土の拡張にこだわりを持たなくなる。
信玄も死に足利将軍も廃絶する。信長が42歳のとき安土城を築城。
最も優れたものを最酷使する信長。それは自分自信を酷使し、次いで光秀、秀吉の順である。
信長が50歳のとき、家臣団の憎悪と反感により秀光の軍に本能寺で・・・
おすすめ度 ★★★★★
大平 光代 著 講談社 発行:2000年3月
中卒、自殺未遂、極妻、そして司法試験に合格した。弁護士からのメッセージ。
転校した学校でいじめられ自殺未遂(腹を切る)をするが、いじめはますますエスカレートする。
非行に走り極妻になったりの末、大平氏に会い再出発する。
宅建、司法書士、司法試験と順に合格していく。
実父の死を前に大平氏の養女になる。
テレビドラマ「金八先生」でも紹介される。現役弁護士の実録である。
おすすめ度 ★★★★
吉本 ばなな 著 文芸春秋 発行:2000年9月
全13の短編集。「みどりのゆび」では、祖母が「アロエが切らないでって言っている。アロエを助けたら、植物は仲間同士でつながっているから、アロエもあんたのこと好きになる」という。祖母が亡くなってアロエを見る眼があたたかくなる。
「いいかげん」では、預金通帳を見せようとする60半ばの客。会員制の喫茶店で働く私はついに声をかける。それがきっかけで食事をしたり家に訪ねたりする。この通帳おじさんはオーナーだった。父よりも年上のオーナーと寝てしまう。「あと1回か2回こういうことをできれば・・・」といわれる。
面白くなったところで終わりになる。話が短すぎるが心に残るものがある。
おすすめ度 ★★★★★
岩井 志麻子 著 角川書店 発行:1999年10月
客を相手に女郎が小さい頃を語る。妾(わたし)は女郎。津山の近く六里ばかり離れた村の出。飢饉で間引かれた。村一番の貧乏が牛以下の生活をした。
血と糞の臭いが家中に染み付いたところで育つ。
十の時、実父に犯され16になったら売り飛ばされ女郎になった。
夜中に一杯の茶漬けだけで倹約をして借金を返す。
いまでは想像もつかない超貧困の生活。牛と一緒に小屋で寝るという。不気味さがこわい。
「ぼっけえ、きょうてえ」とは「非常にこわい」という岡山の方言。
おすすめ度 ★★★
曽野 綾子 著 PHP研究所 発行:2000年10月
「損も危険も覚悟で、自分を持し自分を売らない人々を応援することば集」が表紙の裏に朱書きしてある。「人と同じではなく型破りでもその人らしく」が著者の言いたいことである。1ページ1文章である。
読むたびに「なるほど・・」と感心させられる。
極めつけは最後のほうの文章を紹介すると・・「・・普段あるものがないという体験をさせればいい。(中略)家を失ったと仮定して外で寝る日、電気をいっさい使わない日、電話をかけない日、食べない日など。私たちが当然と思っている生活の形態がどんなに脆い基盤の保証の上に成り立っているかよくわかるだろう」
どうですか?うぬってうなってしまった。私には出来ないけど説得力がある。
おすすめ度 ★★★★★
伊野上 裕伸 著 中央公論社 発行:2000年9月
幸田は4億円を超える預金がある。本業のバッタ屋に精を出そうと、部下の啓輔と金を掴んだことを言いふらす。やがて、山根と言う男が陸中漁協を相手に取込詐欺を企んでいた。幸田は4千万円をこの男に託した。半年で二億円の金が動く。山根は倒産をもくろんでいたが幸田が寸でのところで取り戻す。
半年で5千万円の儲けが出た。しかし、山根のバックに政界の大物が・・・
大きな金額が動き、バッタ屋とパクリ屋の知恵比べが面白い。
おすすめ度 ★★★★
姫野 カオルコ著 新潮社 発行:1999年1月
繭村甲斐子は22歳のときブスになる整形をする。「計画」というレポートに希望する整形手術内容を書いていた。それには、目を小さくし鼻を上に向けることで美人になったと思っていた。
一方、阿部子は鼻を高くし目を二重にする。ふたりは同級生だった。お互いに逢うとどちらもブスに整形した相手を批判する。
甲斐子はその後結婚する。阿部子は鼻から整形とわかるものが見え始め手術したところを元に戻す。そして・・・
おすすめ度 ★★★★
五木 寛之 著 集英社 発行:2000年10月
長女波留子は九州でリサイクルショップを経営。次女奈津子はアメリカで老富豪と結婚後、今は遺産で奔放に生きている。三女亜紀子は雑誌の編集・取材・集金と一人で忙しくしていた。四女の布由子は深夜のラジオ番組をやっていた。
亜紀子はある政治家から福岡の地区から、衆議院議員の補欠選挙に立候補することをすすめられる。
波留子は布由子が入院していたときの担当医沢木との結婚を決意する。一方、布由子はラジオ番組をやめようかと・・・そして奈津子は・・・
物語の完結にしては少し物足りない。大きな展開もないままに終結する。
おすすめ度 ★★★★★
内田 康夫 著 文芸春秋社 発行:1999年9月
利尻島で男が死んだ。死ぬとき睡眠薬入りの飲み物を飲まされていた。
恋人に送ってきたのはCDと「プロメテウスの火矢」という書き残しだった。
浅見が調べているうち防衛庁と自衛のための発注計画の23億円の水増請求があった。組織ぐるみのこの計画を知った部下が2人殺された。
CDは音楽のものではなくコンピュータのデータだった。内容は2重帳簿だった。
おすすめ度 ★★★★
天童 荒太 著 集英社 発行:2000年11月
「とりあえず、愛」では、合紙会社に勤める武史は1歳半になったなつみと二十代後半の妻と2年前にローンで買ったばかりのマンションに住んでいる。
どの子と比べてもわが子が一番と写真を持ち歩いていた。
ある日、妻から「わたしなつみを殺してしまう。殺しそうになった」と言われる。妻はやがて入院する。うつ病であった。
「うつろな恋人」は、ホームで倒れた彰二は多摩湖畔にあるストレス・ケア・センターに入院した。ストレス疾患を専門に診る病院である。
近くのレストランに勤める少女から詩を渡される。詩は官能的なもので少女が書いたとは思えない。彼が書いたというが・・・
「やすらぎの香り」「喪われゆく君に」とつづく4篇。「今も完全に癒えていないのに、深く傷ついたがゆえに人の痛みに寄り添おうと努める人がいる」「永遠の仔」の執筆過程で生まれた篇も含めて、こころの傷をテーマにしている。
おすすめ度 ★★★★
箒木 蓬生 著 新潮社 発行:1999年4月
オランダでは安楽死を容認して30年になる。安楽死といわず「生命終結行為」という。重篤な障害児(新生児)、長期昏睡患者、重篤な痴呆患者に対して行われる。
痴呆病棟の患者が次々死んでいく。患者の死を奇妙に思った看護婦は香月医師の検診の後に起こることに気づいた。
香月医師は安楽死の講演をした医師だった。罪を認めさせようと・・・・
おすすめ度 ★★★★★
筑波 昭 著 草思社 発行:1981年9月
昭和13年5月21日午前2時、死者30名重軽傷3名を出した岡山県津山市の「津山事件」の真相である。横溝正史著「八つ墓村」のモデルにもなった。
松本清張著「闇に駆ける猟銃」でドキュメントにもまとめている。
犯人の青年(22歳)は小学3年生の時から級長をする秀才であった。19歳のとき肋膜炎にかかり蒼い顔をしてぶらぶらしていた。
この年2.26事件や阿部定事件がおこる。青年はこの「阿部定事件」に興味を持ち「わしはどうせ死ぬなら阿部定に負けんようなことをして死ぬ」と言っていた。
22歳のとき村のある女性に恥辱を受け、世間の笑い者になったと常々感じていたことから「身をもって思い知らせてやる」と犯行に及んだ。青年は遺書を残し明け方自殺している。
当時の新聞写真や犯人の顔写真も有り、故郷がこの近くなので重みを持って読んだ。
「死人にくちなし」で真相は定かではないが迫るものがある。
おすすめ度 ★★★★
逢坂 剛 著 集英社 発行:2000年8月
古書会館でアルバイトをしている松本ユリは五本松小百合という同僚の巡査部長である。叔父がやっている古書屋を手伝っている。
仕出し弁当屋とぶつかった刑事は、中味が裏ビデオと知る。連行しビデオを再生してみると、なんと小百合が写っていた。小百合に好意を寄せる刑事はすぐさまビデオを回収する。写したのは、隠し撮り専門の業者である。そのことを小百合に言うと「それは、私ではない松本ユリだ」と言い張る。そして・・・
好意を寄せる刑事のフォローぶりと小百合の割り切り方が面白い。
おすすめ度 ★★★★
重松 清 著 新潮社 発行:2000年8月
Family.Fater.Friend.Fight.Fragile.などFで始まる言葉をキーワードに7つの短いストーリーである。
「ゲンコツ」では同じマンションの2階の住人の息子が父親を殴り前歯を折る。茶髪にした子である。自動販売機にいたずらをしているところを5階の住人に注意され逃げる。途中で転倒し動けなくなる。すぐさま茶髪の父親に電話し来てもらう。茶髪は父親に負ぶわれて戻る。息子と父親に親子の絆の回復を込めて、あえて自分が負ぶうのではなく父親を呼んだ。
「母帰る」では、母が58歳のとき一方的に離婚を申し出て家を出る。姑、舅を見送りわが子は成長し自分の役目は終わった。
そして10年後、母は別れてから一緒になった人も死に1人になった。それを知った父は母に帰って来いと言う。父は72歳になっていた。「33年連れ添った奴を1人暮らしのまま死なせとうはない」。息子は母に帰るよう電話する。母は電話の向こうでためらっている。
話はひと波乱あるが、それはよくある波乱。あたたかい日常がここにある。
おすすめ度 ★★★★
柳 美里 著 小学館 発行:2000年7月
テレビ局の報道部に籍を置く35歳の男との間に妊娠をするが、彼には妻子がいた。その頃、17歳のときから10年間生活を共にした東由多加が癌であると知らされる。東の看病の側ら出産する。
東と柳と平成12年1月に生まれた子供の生活が始まる。東は一時退院をしたが、再び入院をする。平成12年4月20日東は永眠。治療しても8ヶ月と言われながら10ヶ月後だった。
後日テレビでドキュメントの形で放映されていた。しかし筆者は強い人である。
おすすめ度 ★★★★
柳 美里 著 小学館 発行:2000年7月
テレビ局の報道部に籍を置く35歳の男との間に妊娠をするが、彼には妻子がいた。その頃、17歳のときから10年間生活を共にした東由多加が癌であると知らされる。東の看病の側ら出産する。
東と柳と平成12年1月に生まれた子供の生活が始まる。東は一時退院をしたが、再び入院をする。平成12年4月20日東は永眠。治療しても8ヶ月と言われながら10ヶ月後だった。
後日テレビでドキュメントの形で放映されていた。しかし筆者は強い人である。
おすすめ度 ★★★★★
乃南 アサ 著 新潮社 発行:2000年10月
刑事音道貴子は、今度は星野という年下の男と組んだ。武蔵村山市で起きた「占い師一家皆殺し事件」を担当する。冷蔵庫の中の容器から架空銀行口座の存在を知る。殺されたとみられる日に2億円が引き出されていた。
バツイチ同志と言い寄った星野を断ったことで貴子は一人で捜査をしているうちに、犯人の一味に縛られた上に鎖につながれ監禁される。
犯人の一人に、3年前ひったくり被害者の中田加恵子がいた。見張り役の彼女は、自分の過去を話す。子を溺死させた夫婦に3歳の時にさらわれ、亡くなった子の名前で虐待を受けながら育てられた。
久しぶりに読み応えがあり、面白い。549頁少し厚いが一気に読める。
おすすめ度 ★★★
アラン・ビーズ/バーバラ・ビーズ 著 主婦の友社発行 角川書店発売 2000年4月
男が「女に重視するところ」と、女が「男が重視すると思っているところ」つまり、受けてと送りてのギャップが面白い。逆に女が「男を重視するところ」もある。
女が重視することは、性格、ユーモア、思いやり、知性、身体つきの順であるが、女が重視すると男が思っていることは、性格、身体つき、ユーモア、思いやり、顔である。
男が重視することは、性格、顔のよしあし、知性、ユーモア、身体つきの順。男が重視すると女が思っていることは、顔のよしあし、身体つき、胸の大きさ、お尻、性格である。
このほか、性差について生まれ持っての違いなどが書かれている。
おすすめ度 ★★★
美輪 明宏 著 主婦と生活社 発行:2000年10月
47の人生相談です。人生は戦いの連続である。ままならないのが人生。強く生きるためには、立ち向かうこと。げんこつや暴力ではなく、言葉を操る知性しかない。1つ1つの相談に対しテレビで拝見するように、すぱーっと重みの有る言葉で答えている。小気味のいい回答であるが、途中で休憩を入れないと滅入ってくる。一気に読み切らないことをおすすめします。
おすすめ度 ★★★★★
永 六輔 著 朝日新聞社 発行:2000年8月
すでに亡くなった人との対談集。1人が4ページ分で48人との会話が楽しい。臨場感がある。大石内蔵助とは、切腹の作法や介錯人の話。イエスキリストとは、「日本人は年末はクリスマスでキリスト教徒、年が明けたら初詣で神道、正月行事は儒教と忙しいがどう考えるか」の永六輔さんの質問に「クリスマスに罪をつぐない、大晦日に反省し、初詣で誓う・・・悪くないですね。この国は」というところは、うまい事いうねって感心させられる。
松尾芭蕉に「なぜ、津軽にいかなかったのか」というと「言葉です」つまり、「どさ」(どこへいくの)「ゆさ」(お風呂にいく)では俳句にならないと答える。笑っちゃいました。
おすすめ度 ★★★★★
梓 林太郎 著 徳間書店 発行:2000年10月
行方不明になっていた男女が、上高地先の徳本峠で男は転落死、女は絞殺された遺体で見つかる。女は食品会社社員 堀越理枝(26歳)複数の男性との噂があった。聞きこみの最中、理枝の会社の男性が自分の兄と尾瀬ヶ原に行ったことがあり、兄は熱射病で死んだ。その男が信じられない。という手紙が来る。男は事件のあった日も尾瀬に行っており、上高地の事件とは関係ないと思われた。
上高地と尾瀬が小説の舞台。尾瀬も上高地も残雪が遅くまで残っていることに驚いてしまった。ゴールデンウイークの10日ほど前まで開山ではない。
おすすめ度 ★★★
新井 満 著 集英社 発行:2000年10月
42歳の柊と22歳の曜子。写真家の柊はこれまで10冊以上の写真集を出し数冊が大賞を受賞していた。曜子は雑誌のモデルである。柊には妻がいるが、2年前から二人は密かに会うようになった。
柊が曜子をモデルに写真を撮る。ヌード写真であるが、思うようなポーズにならず曜子に注意すると泣き出す。泣き顔をみて人の泣いた写真を思いつく。
曜子の過去の話を聞きながら撮る。高校時代に親友から裏切られた話。両親の離婚。弟の死。泣きながら話す。
2ヶ月後、「泣く女」の写真展が・・・。
おすすめ度 ★★★★★
夏樹 静子 著 講談社 発行:2000年6月
「相続放棄の謎」では、付き合いのなかった叔父が墜落死して千賀子に転がり込んだのは負債の山。若い妻は財産放棄をしていた。叔父に4億を貸したという知人が現れる。あまりにも都合のよい若い妻の財産放棄。それには・・。
「贈る証言」では、血まみれで死んだ老画家。家政婦があやしいと見られる。しかし、遺書には全財産を家政婦にやるとあった。以外にも家政婦のアリバイを証言するものがあらわれる。愛ゆえにうまくいけば財産をやるが、運が悪ければ犯人としてつかまるよう仕向けられた・・?
おすすめ度 ★★★★★
ダニエル・スティール 著 アカデミー出版 発行:2000年8月
パットは32歳のとき、父親の残してくれた多少の預金と妻がこつこつ貯めた金で79エーカーの土地を買い、オマリー飛行場を設立した。郵便物を運ぶ仕事である。4人目の子(キャシー)が17歳の時、昔の飛行機仲間ニック(35歳)がやってきた。パットの仕事を手伝うようになる。
最初の飛行をキャシーに教えたのはニックだった。キャシーは腕を上げ世界2位になる。21歳になったキャシーは結婚する。が父の危篤にも新聞の宣伝に利用する夫に離婚を決意。父の元へ、オマリー飛行場へ戻る。
おすすめ度 ★★★★★
宮部 みゆき 著 光文社 発行:1999年1月
予備校受験に上京した少年尾崎孝史は、三宅坂を下った国会図書館の近くの平河町一番ホテルに泊まっていた。ホテルが火災に会った夜、2.26事件の4日前、ホテルが建つ前の蒲生邸にタイムスリップした。昭和11年2月26日。そこで蒲生大将の自決に遭遇する。ふきという娘が面倒を見てくれる。平田と言う男が再び平成の時代に戻してくれる。
60年前の日本の生活、かまどで火をたく生活。事件の日の三宅坂のようすなどを現在の風景と比べながら楽しめる。
おすすめ度 ★★★
平野 啓一郎 著 新潮社 発行:1998年10月
紹介の前に、あなたはこの字読めますか? 私は正確に読めませんでした。
@徒に A剰え B抑 C態態 D悉 E沁沁
1482年、巴黎大学に籍をおく私は写本をしていた。司教が「アルプスの山の方に全く違う世界がある。アルプスの山々が新しい世界の為の障碍となっているのか、防塁になっているのか、それを確めてきてもらいたい」という。
旅に出る。村の刑場で両性具有者(アンドロギユノス)が火刑されているとき、日蝕がおこる。闇の中で人々は茫然自失の態で立ち尽くしていた。
@いたずらに Aあまつさえ Bそもそも Cわざわざ Dことごとく Eしみじみ
この他にもへぇーと思う漢字使いがされていて目にウロコ。ピェエルとかアァメンという表記も有る。国語の勉強にのぞいてみる?
おすすめ度 ★★★★
ダニエル・スティール 著 アカデミー出版 発行:1998年5月
綾部市に住むヒデヨとマサオの娘ヒロコは18歳の時、サンフランシスコのセント・アンドリュース大学へ留学する。ジャップとのいじめを受けながら、同時に世界大戦中、パールハーバーなどの日米決戦で、日系人強制収容所に送られる。大学で知り合ったピーターの支えで苦難も乗り越える。やがて妊娠する。ピーターは外国へ行き行方不明。日本に戻ったヒロコのもとへ・・・・
ドラマを見ているようにスラスラと読めてしまう。ダニエル・スチールは大抵がハッピーエンドである。この場合は・・・ お楽しみに!
おすすめ度 ★★★★
スーザン・ファワード 著 毎日新聞社 発行:1999年3月
折檻して殺したり、炎天下に停めた車で衰弱死させた親には虐待だとすぐ騒ぐが、過干渉や侮辱的な言動や強制で人権を侵害している親の行為が、どれだけ子供の心を歪ませているか。子の人生を破壊させているか。親が子供に心を開くことが大切。過剰なコントロール、おまえのためにやっているという口実。いつまでも罰しつづける親が問題である。
まわりに大人が少ないと本当に子供の行き場がない。うるさい親はえてして嫌われる。世間の目より子供の気持ちが大切だよね。
おすすめ度 ★★
土居 健郎 著 弘文社 発行:1971年2月
日本人は内と外をはっきり区別するが、公私の区別はしばしば曖昧になる。とにかく日本人は一個人としての自分と自分が関係してる仕事あるいは仲間との間にあまり区別を設けない。甘えの心理延長線上にある。日本人の社会では甘えが単にプライベートな感情ないし欲望に留まることなく社会関係の形式に一役買うまでに至っている。(原文のまま)
忘れかけてたなつかしい本。整理していたら出てきた。つい読んでしまった。心理学の勉強のときは頭に入らなかったがどういうわけか素直に読めた。
おすすめ度 ★★★★
乃南 アサ 著 新潮社 発行:1999年1月
刑事音道貴子は同僚から「おっちゃん」と呼ばれていた。オートバイに乗る貴子は、永福町のマンションに戻るとゴミ置き場から不審な男が出てくる。
まもなく、幼児を誘拐して青年がつかまる。貴子の行く店の店員だった。ゴミもそいつがあさっていた。幼児の裸の写真をとるのが趣味の男だった。他6篇。
おすすめ度 ★★★★
貴志 裕介 著 角川書店 発行:1999年10月
由比ガ浜高校2年の秀一は、母と妹の3人暮らしである。4年前に祖父が亡くなり、十年前に離婚した母の夫が10日前から居座わり、朝から飲んだくれている。秀一は、完全犯罪でその男を殺そうとする。学校から抜け出しその男を感電死させる。その行動は同級生に見られていた。そして・・・
おすすめ度 ★★★
佐野 真一 著 新潮社 発行:2000年5月
平成9年3月、OLが渋谷円山町で殺される。この女性は元東電のエリートOLだった。となりの住人ゴビンダというネパール人が犯人として留置される。
OLは父親を尊敬し、反面自分はきたないものと思い込み、過剰なまでに懲罰的な自我を芽生えさせていた。毎夜、男と寝るが翌日はきちんと出勤していた。やがて調べるうちにネパール人の免罪を確信する。
2000年4月無罪となる。背負っていた父親像が立派過ぎても子は歪むのかと考えさせられる。
おすすめ度 ★★★★
深谷 忠記 著 徳間書店 発行:1995年8月
男が隅田川で死んだ。持っていた図書カードから高木であることが分かる。昭和20年3月の大空襲の日、人を好きになった男が兵役を逃れるために食を細くして仮病で逃れたいと友人に話す。告発してやると言われ友人を刺す。友人の死は空襲のどさくさで不明になる。好きだった女は別の人の妻になっていた。そして・・
おすすめ度 ★★★★
柳 美里 著 文芸春秋 発行:1999年9月
弦一郎は3400万円の退職金をもらったが、妻の死後マンション暮らしをしていた。息子夫婦が同居していた。嫁の存在が疎ましい。中央区のウォーターフロントの33階のマンションを買いたいと言い出した息子夫婦。この家を売るつもりは弦一郎にはない。そのうち、孫の友人の女学生が援助交際をしたがっている事を知る。弦一郎の提案で女学生達が息子を恐喝することを思いつく。・・・・うまくいったがむなしさが残った。
おすすめ度 ★★★★
東野 圭吾 著 集英社 発行:1999年8月
工事途中で放置されたビルの中で質屋の店主が刺殺された。ビルは子供の遊び場だった。店主が生前訪ねた母子家庭の母の方がその後、ガス漏れが元で死ぬ。残された子は遠縁に預けられる。小学6年生の時。子は質屋の息子と同い年。成人したこのふたりの周りで人が次々に殺される。
おすすめ度 ★★★
乃南 アサ 著 双葉社 発行:1995年5月
40歳の葉子のマンションに甥の彰彦が受験のために2週間泊まりにやって来た日、知人の杉浦の妻が殺された。警察がやってきた日、今度は彰彦の妹がきた。15歳である。妊娠したことがあり、母親とうまく行っていなかった。この子の親に当る父は、葉子の兄である。兄は癌で死ぬ。栃木の生家を売りに出す。めいとおいは東京に来たがっている。
親族との付き合いが希薄になりつつある今、温かさが残る。
おすすめ度 ★★★★
小野 不由美 著 新潮社 発行:1998年9月
村に窓のない洋館が建った。なかなか人が越してこない。やがて、越してきた住人は、妻らしいものと病気の娘。それに医者とお手伝いと若い男と主人の6人である。6人が来てから次々に村人が死ぬ。墓を掘ると身体がない。死んで起きあがり、屍鬼となって生きた人の血を吸い死に至らせる。400戸あった村は、大勢の人が死んだ。山林火災があり、村は全滅したが・・・
気味が悪いが、読んでしまった。とても分厚い本でしかも上下で2冊。
おすすめ度 ★★★★★
大沢 在昌 著 双葉社 発行:1999年9月
三島のハヤサカという女性から電話があり、父が死んだことを知る。24年間一度も会わなかった父。三島に行き遺品の絵をもらう。その後、父の描いた絵のことで人が動き出す。絵は北陸の島で、24年前その島に父が住み麻を栽培していた。その島を見つける。やがて、島の大麻草をめぐって・・・
新宿鮫を書いた著者。いつも一気に読んでしまう。
おすすめ度 ★
町田 康 著 文芸春秋 発行:2000年7月
ランパブで泥酔した友と鈍くさいもう一人の友が、なかなかタクシーをつかまえられない。翌日、泥酔した友が死ぬ。
サトエという女と結婚。いろいろな物が増え、部屋の中は足の踏み場もない。シュミーズ姿で体たらくな妻であった。
芥川賞受賞作であるが、怠惰な生活と視野の狭い印象を受け何が言いたいのかわからない。
おすすめ度 ★★★★
横山 秀夫 著 文芸春秋 発行:1998年10月
異動の内示がもうすぐ発表間近なのに、やり直さなければらならない。決裁も済んでいた。天下りした長坂部が辞めないと言っている。次に行く人が決まっているのに。6月に結婚する娘のための残留かと思ったが、5年前のOL殺人事件の犯人が娘のレイプ犯だと確信した。そして、そいつは身近にいた。
伊東四郎の主演でドラマ化され、寡黙でギョロメの役。いい味出していた。
おすすめ度 ★★★★★
ダニエル・スティール 著 アカデミー出版 発行:1996年
グレースは14歳のとき、父親に犯される。17歳の時、母の葬式の後、父親がまた犯そうとした時、銃で殺害する。正当防衛にもかかわらず、父の外面から娘の言うことは信じてもらえない。父親は、弁護士で愛妻家で通っていた。マスコミには色魔と書きたてられ、2年の服役をする。23歳のとき弁護士と知り合い、結婚。3児に恵まれる。やがて夫は出世し上院議員に立候補。妻の過去が再びスキャンダルになる。そして……
報道は真実ではなく受ける側に面白く創作される。
おすすめ度 ★★★★
なかにし 礼 著 文芸春秋 発行:1999年11月
サダは10歳のとき網島から長崎の遊女屋へ売られた。器量も今いちだったので、三味線や芸事を磨いた。愛八姐さんと慕われる。古賀十ニ郎という文人と長崎の古か歌ば採集するという。旅をしながら調査をする。「長崎ぶらぶら節」は大正から忘れ去られていた。明治の初め頃まで花街でよく歌われていた。丸3年かかってみつけだした。愛八はその歌をレコードにし、長崎で有名人になる。
おすすめ度 ★★★★
乙武 洋匡 著 講談社 発行:1998年10月
先天性四肢切断(生まれつき手と足がない)で生まれてきた彼は、母の普通の子と同じに育てるという育児姿勢の中で、小学校から普通校へ通う。早稲田大学に進むまでの様子が書かれている。98年にはサンフランシスコへ旅行。
「障害をもって生まれてもボクは毎日楽しいよ」と言う言葉は、これまでの生活にどれだけ前向きに生きてきたか、そして、彼を取り囲む人々の温かさが伝わってくる。読んだ直後は感動した。最近、テレビでも見かけるようになり、報道番組でリポーターをこなす姿は頼もしい。図書館で予約が多かった本である。
おすすめ度 ★★★★★
桐生 操 著 KKベストセラーズ 発行:1998年7月
白雪姫は、意地悪な継母から殺されるのではなく、娘と夫の関係を知った実の母親の嫉妬心から森に追いやられ、りんごを食べて棺の中にいるところを死体愛好家の王子に引き取られる。棺と共に行動する王子に、従者が怒り、柩から起き上がらせて背中をなぐると、毒りんごのかけらが取れて生き返ったという原典。
シンデレラは、最後に意地悪な姉たちが鳥に両目をえぐられるという結末。魔法使いはいないが、母を知る村外れに住む女の人がドレスを用意する。
ちょっと残酷であり、気味の悪い話だった。
おすすめ度 ★★★★★
浅田 次郎 著 朝日新聞社 発行:1998年12月
自己破産した男が、別れた妻への仕送りもままならない生活を送っている。男の母が入院先の主治医から千葉の病院に転院をすすめられる。男は母の命を助けるために、東京から百マイル(160キロ)離れた病院まで旅をする。おんぼろワゴン車で。母と息子が昔を振り返りながら、母を負ぶったり、歌をうたったりしながら。母は痛みに必死に堪えながら無事に病院まで着く。「私は生きようが死のうがかまわない。でも、私が死んだらあの子は一生ダメになる。私が生きたら、あの子はもういっぺん生きかえる。」 男は新たな奮起を見せる。母と息子と別れた妻とそしてキャバレーに勤めながら2年間面倒をみてくれたマリと病院の医師達。みんながあたたかい! よい人たちの集まりである。
「鉄道員」を書いた作者である。読み終えて、とてもよい心地になる本である。
おすすめ度 ★★★★★
真保 裕一 著 新潮社 発行:1995年9月
映画「ホワイトアウト」を見てから、読むもよし。原作本を読んでから映画を見るもよし。ただし、原作が先の方がイメージの広がりと迫力感は十分に味わえる。特に犯人の細かな動きは本でないと味わえない。なぜ犯行に及んだのか、何が目的なのかが、よりリアルに分かる。
脚本も著者である。ダムの壮大さは、やはり映画でしょう。黒部ダムがモデルのようでした。湖面からダムの放水先に画面がダウンする時、ぞっとする深さを感じた。